オリンパスが絶好調、あの提携もついに結実 株式市場はストップ高で最高の評価

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医療分野において、4K対応は実務上のメリットを伴う。内視鏡手術は開腹手術と異なり、医者が体内を直接見ることができない。正確な手術を実現するためには、医者の目の代わりとなる内視鏡が、どれだけ高精細な画像を映し出せるかが非常に重要になる。

今回の新製品は赤色の再現性を向上させたことで、血管や神経、リンパ管などの体組織を識別しやすくなった。

4K対応後、さらに次の一手は?

製品を開発したSOMEDは、ソニーが51%の株式を保有する親会社だが、製造・販売はオリンパスが担当する。10月には、すでに日本と欧州で販売を開始した。オリンパスの田口晶弘専務は、決算会見で「顧客のリアクションはとても良い。発表と同時に買い入れ決定の連絡をしてくる所もあった。この業界ではとても珍しいことだ」と手応えを口にしていた。

SOMEDが次に見据える目標は、3D化だ。テレビではブームが去ったようにも見える3Dだが、これも4K同様、内視鏡に応用することで実用面での価値が出てくる。従来は再現できなかった体内の奥行きを詳細に描写することで、さらに正確な手術が可能になるからだ。

ついに結実したソニーとオリンパスの共同事業は、外科内視鏡の世界に風穴を開けることができるのか。今後、第2弾、第3弾と新製品が投入されることになれば、オリンパスの今後の業績にも弾みがつきそうだ。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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