増殖する「リア充なのにオタク」たちの実態 スクールカーストの上位にランク?

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このようにじわじわ増殖するリア充オタク。今後、その市場はますます拡大すると思われるが今現在、彼ら向けの商品はさほど存在しない。そこで彼らのニーズを満たす商品を考えてみたので、以下に紹介したい。リア充オタクにとっては、オタク活動が充実するだけでは当たり前すぎて変化がない。日常生活にも輝きをもたらすようなものが望ましいと思われる。

「リア充オタク」が求める商品を考えてみた

1.オタ活家計簿アプリ

オタ活(オタク活動)とリア充行動を両立させるのは、金銭的に大変。そんなとき、家計簿アプリで普通の項目にプラスして「グッズ代」「DVD代」「ゲーム課金代」「チケット代」「イベント遠征費」といったオタクならではの項目があれば、便利ではないだろうか。

また、リア充オタクのなかには、自身のオタク活動をオタクではない人に隠す人もいるので、オタク活動費のみ裏ページに隔離できるなどの機能があるとよいかもしれない。

2.グッズのアレンジキット

オタクにとって、好きな作品のグッズを持つことは、ステータスの1つ。それはかつてのオタクであれ、リア充オタクであれ、変わらない。そんななか、「ほかのオタクと同じグッズを持つのは嫌!」というオタクが増えている。ただ、手先が器用なオタクはグッズをゼロから制作するが、リア充オタクはそこまで時間が取れないこともあって、満足できていない人も多いかもしれない。そこで、彼ら向けに公式グッズを手軽にアレンジできるツールキットを販売してはどうだろう。

3.グッズ宝箱

コレクションしたグッズは、綺麗に並べたくなる。交友関係が広く、オープンなコミュニケーションを取るリア充オタクであれば、部屋に友人を呼ぶこともあるだろう。そこで、たくさん収納できるといった機能面はもちろん、他人に見せても恥ずかしくない、ほかのインテリアから浮かない、「魅せる」デザインに優れた収納グッズを提案したい。写真を撮ってSNS映えするような工夫があると、さらによい。

原田の総評:だから若者は「両立」する

いかがでしたでしょうか。

前回の「エセオタ」と違い、彼らは正真正銘の「リア充」でもあり、「オタク」でもあります。インターネットの普及により、昔と比べると「オタ活」に労力やお金をかけなくてもよくなったことが、この「リア充」と「オタク」の両立を実現する若者たちを増やしているのです。

トレンド行動を率先し、SNS上にもリア充写真をばら撒くある種のトレンドリーダーである「リア充」と、ある特定のジャンルに大変詳しい「オタク」のハイブリッド型である「リア充オタク」は、今の若者の間のスクールカーストで言うと、上位に位置するケースが多く見受けられます。

今後多くの企業においては、この新たなトレンドリーダータイプをしっかりと研究して商品を開発し、広告やプロモーションを行っていくことが重要になっていくでしょう。

 

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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