東急電鉄が取り組むO2Oによる街づくり(前編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

拡大
縮小


プロジェクトは、11年8月に2011年度経済産業省補助事業の採択を受けて展開。他メンバーは、国立情報学研究所、慶応大学、システム開発企業などの産学共同のプロジェクトとなる。

プロジェクトの取り組みの下、東急電鉄は、11年11月30日から12年3月31日にかけて「ニコトコ」サービスを実施した。ニコトコは、利用者のスマートフォンや携帯電話に、地域や店舗の情報、クーポン、ポイント等を配信し、街歩きを楽しんでもらうO2Oサービス。

利用者は、二子玉川に来てアプリを立ち上げると来街ポイントがもらえる。利用者の登録情報(プロフィール)や行動履歴の解析結果をベースに、約1600軒の登録店舗情報の中から、おすすめの店舗情報を受け取る。おすすめに従って店舗に行き、QRコードを読み込み「自分がここにいる」という情報を発信する。来店ポイントがもらえ、スタンプラリーが攻略できる。店を出ると次のおすすめの店舗情報を受け取る。

今回、利用者の位置計測の際、QR コードという従来式の技術をあえて使ったのには理由がある。

ターゲット層である30~40代女性では、スマホの普及率は実際にはまだそれほど高くはない。従来の携帯電話にも対応できるようにQRコードを採用した。また、QRコードが目に見える形で街中にたくさん貼られ、二子玉川で何かをやっている、という感覚が出ることも期待したという。

とはいえ、利用者にとっては読み込む作業という負担がある。今後はWi-Fiなども併設で取り入れ利便性を上げることも検討する。

QRコードは、エリア全体に約280枚設置された。そのうち、店舗は200~230店舗。二子玉川ライズのショッピングセンターだけではなく、玉川高島屋や近隣商店街の豆腐店、精肉店などの個人商店にも貼り、街ぐるみのO2Oを実現した。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT