北海道、青森、茨城、能登… 独自の活性化策で利用客を増やす地方空港

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茨城空港の低コストが航空会社に大人気

巨額の投資で客を呼び込む新千歳空港とは対照的に、お隣の旭川空港では、むしろ節約や合理化で活性化をもくろむ。

旭川空港は「特定地方管理空港」。土地などの財産は国が所有しているが、管理運営は旭川市が行うという特殊な形態である。旭川以外に秋田、山口宇部など五つの空港が特定地方管理空港に指定されている。

市の財政が悪化し財政健全化に迫られた旭川市では、経費削減策として市の施設に指定管理者制度を適用して人員削減に踏み切った。だが、国が財産を所有する特定地方管理空港では同制度が適用できない。そこで実態的に指定管理者制度に近い「総合的民間委託」制度を07年度に全国で初めて導入した。

具体的な委託業務内容は、滑走路の状態や灯火のチェック、草刈り、除雪など。それまで14人いた空港管理事務所員を7人に減らす計画だ(現時点では9人)。

さらに、それまで無料だった駐車場を有料化することで年間1100万円の収入が得られる(写真)。駐車場の有料化は利用者の利便性を損なうのでないか。こんな見方については、「有料化でマナーの悪い客が減ったので歓迎されている面もある」(旭川空港管理事務所)という。駐車料金も1時間100円、1日の上限は500円と低めに抑え、それまで散見されていた長期間駐車、ルール無視の駐車がなくなったという。

民間委託の成果は利用者には見えにくいが、これらの制度導入で、5年間で3億8000万円の収支改善効果が出るとみられる。前例のない制度は、まさに旭川市の知恵と行動力の賜物である。

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