日米共同声明、中国の軍事的台頭背景に日米軍事態勢の再構築へ

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普天間基地移設問題は米軍再編と切り離されたことで、完全に日本国内の問題となった。代替基地ができるまで海兵隊は普天間を使い続けるだけである。普天間を「世界一危険な飛行場」とするのは多分にプロパガンダのきらいがあるが、事故が起きたときには日米同盟全体を揺るがす事態となるだけに、移設に向けた努力は続けなければならない。

“海外派兵”と“軍事援助”

今回の見直し共同文書の中で、新たな取り組みとして注目すべきは、「地域の平和、安定及び繁栄を促進するための」ものとして、日本のODA(政府開発援助)の戦略的活用と、自衛隊によるグアム、テニアン島での米軍施設を使った共同訓練が挙げられていることだろう。

まず後者については、陸海空の統合部隊を編成し、テニアン島で海兵隊と共同訓練をするというもので、訓練部隊はローテーションによる派遣となるようだ。自衛隊としては常駐の形になるので、共同訓練場の整備費を分担することになる。

狙いは、日本の南西諸島の防衛力強化にある。敵軍に占領された島を奪回するための上陸作戦などについては、海兵隊は豊富なノウハウを持っている。こうした島嶼防衛に加えて、海兵隊の国外移転は、日本にとって手薄な、沖縄そのものの防衛を真剣に考え直す契機となる。

ただ、国外での日米共同訓練は従来から行われていることとはいえ、“常駐”がすんなり実現すれば、民主党政権でも、人によっては自民党政権同様に防衛協力を進められるという実例ともなり、米国側の民主党政権への警戒感は薄らぐことになるかもしれない。

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