長崎新幹線は「全線フル規格」で進めるべきだ フリーゲージトレインにメリットは少ない!

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長崎新幹線での導入に向けて開発されたフリーゲージトレイン

全国新幹線鉄道整備法(全幹法)によると、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線に九州新幹線の名がリストアップされている。九州新幹線は東北新幹線の盛岡-新青森間や北海道新幹線、北陸新幹線とともに整備新幹線という。

ほかの整備新幹線とは異なり、九州新幹線は2路線から成る。鹿児島ルートと西九州ルートだ。前者は福岡市を起点とし、鹿児島市を終点とする新幹線を指す。博多-鹿児島中央間の九州新幹線として2011(平成23)年3月12日に全線開業を果たした。

もう一つの「九州新幹線」

後者は福岡市を起点として長崎市を終点とする新幹線である。建設工事を担当している独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)によると、起点は九州新幹線鹿児島ルートの新鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)で、終点は長崎駅(長崎県長崎市)であるという。鹿児島ルートは単に九州新幹線という名称で開業しているので、区別する意味合いもあり、こちらは一般に長崎新幹線と呼ばれる。

長崎新幹線は2008(平成20)年3月に新幹線鉄道規格新線、いわゆるスーパー特急方式(新幹線の規格で建設された線路に在来線の列車を走らせる方式)と呼ばれる暫定整備計画に基づいて着工となった。その後、2012(平成24)年6月には東海道や山陽、九州の各新幹線などと同様の形態であるフル規格に変更となり、2022(平成34)年6月ごろの完成を目指して建設工事が進められている。

と、ここまで記すと、2022年に新鳥栖-長崎間が開業し、新鳥栖駅からは鹿児島ルートに乗り入れ、博多駅へはもちろん、山陽新幹線にも乗り入れて新大阪-長崎間を行く列車が走り出す、と想像される方も多いのではないだろうか。

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