沈む欧州経済、ギリシャはユーロ離脱も

懸念された通り、ギリシャ議会選挙では、連立政権の2大政党が惨敗した。新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)を合わせても議席の過半数に届かなかった。第2党に躍進した急進左派連合(SYRIZA)は、EU(欧州連合)・IMF(国際通貨基金)による金融支援の条件として、さきの連立政権が結んだ緊縮財政策の合意を無効とする、としている。連立協議は決裂し、6月に再選挙が行われる。

EUやECB(欧州中央銀行)の関係者、ドイツ外相らは、ギリシャが財政緊縮策を守らないとユーロ離脱もありうる、と警告する。彼らは、PSI(債務交換による民間負担)など、大幅に譲歩したにもかかわらず、構造改革を拒否し、デモやストライキに明け暮れるギリシャ国民に業を煮やしている。が、ギリシャ国民からすれば、もはや構造改革に取り組む余裕がないということなのだろう。

南欧の債務国は今や非難の的で、緊縮財政を余儀なくされている。だが、ユーロバブルの時期には、北欧との間の経済力格差は覆い隠され、ユーロ高によって資金調達は容易となり、南欧には多額の資本が流入した。南欧の債務国の国民の目には、ドイツなどの経常黒字国が利潤を求めて貸し込んだと見えている。

バブルが崩壊して、信用力の違いが大きくクローズアップされ、ユーロが下落する中、ドイツ・北欧と南欧との経済格差は開くばかりだ。ドイツの失業率は金融危機前の7.1%から金融危機後に8%になったが、その後は一貫して下落を続け、2012年3月は5.6%まで低下。一方、南欧諸国の失業率は大幅に上昇。スペインは07年5月の7.9%から12年3月は24.1%に悪化。ギリシャも08年4月の7.4%から12年1月には21.7%に上昇しており、収束する気配がない。

ギリシャは、本来、ユーロ圏への加入資格はなかった。特段の競争力のある産業がなく、恒常的な経常赤字国だ。通常、債務危機に陥った国は、大幅な通貨の下落によって輸出競争力が回復し、徐々に債務圧縮をこなして、経済を再建していくという経路をたどる。しかし、統一通貨ユーロの下ではそれができない。

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