ビックカメラは140億円投じコジマを子会社化、家電量販店で一躍2位となったが効果は未知数

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一方のビックは、都心の一等地に店舗を構えるために家賃負担や運営費が重い。取り扱い店アイテムも多く、在庫管理の負担が大きい。このため郊外型の家電量販店よりも割高と見られてきた。だがヤマダが都心出店も進めたことで価格競争が激化。特に池袋本店の目の前にヤマダが大型店を出店して以来、激しい値下げ競争が繰り広げられる“池袋戦争”が勃発していた。

両社共通の敵がヤマダであることに変わりはない。だが両社は店舗スタイルがあまりに違うため、仕入れの統合効果をどこまで発揮できるかわかりにくい。特にコジマの場合、近年は取り扱いアイテムを減らしており、戦略商品に的を絞って価格競争力を維持してきた経緯がある。テレビや冷蔵庫、エアコンなどの一部商品で価格競争力が付くことは間違いないが、その効果は限定的にも見えてしまう。

家電量販店は創業者や創業家出身の社長が多く、それぞれの個性でリーダーシップを発揮して出店を拡大してきた。02年には広島地盤のデオデオと名古屋地盤のエイデンが合併してエディオンが誕生したが、統合効果を出すまでに数年を要してしまった経緯がある。「社長2人の存在が大きすぎて、経営の一本化が遅れてしまった」(家電量販店幹部)との見方が多い。エディオンは売上高7590億円(12年3月期)で業界2位だが、経常利益は163億円にとどまる。業界3位のケーズホールディングスは売上高7260億円、経常利益421億円と比べると、利益率では大きく差を付けられている。

「規模拡大は追求しない」(宮嶋社長)という方針を掲げるが、規模で攻めるライバルに対抗するには、規模を追求しなければ仕入れの統合化に伴う価格競争力も色あせる。家電量販店市場が縮小傾向の中、巨大グループの前途は平坦ではない。

(前田 佳子 撮影:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)

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