甲子園ジェット風船が割れやすくなったワケ 製造業者が変わったことが原因か

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取材の結果、ロッテ、西武、横浜、広島は東京のライオンゴムからOEM供給を受けているため、阪神以外の8球団分のうち、6球団分をライオンゴム、2球団分を大阪のタイガーゴムが生産していることが判明した。

さらに、「シャープ産業が作っている阪神のジェット風船も、昨年まではタイガーゴムがOEM供給を行っていた」(プロ野球グッズ業界関係者)と言うから、昨年まではほぼライオンゴムとタイガーゴムの2社供給体制だったことになる。

吹口の構造でわかる供給元

ラテックス溶液(左)と風船型(右)

ジェット風船は、天然ゴムから採れるラテックスに、アンモニアと少量の硫黄をブレンドしたアルカリ性の溶液を作り、この溶液に型をくぐらせ、熱で乾燥させて作る。

「ラテックス溶液の配合、溶液にくぐらせる直前に酸性液を型に塗るノウハウ、乾燥させる際の熱コントロールで風船本体の品質が決まる」(ライオンゴム)という。

タイガーゴム製かライオンゴム製か、それ以外かは吹口を見ると分かるそうで、確かに吹口の形状が、タイガーゴムはゴムの上から上蓋をすっぽり被せた形になっており、内部にツメのようなものも見える。

上段左からライオンゴム(広島・横浜仕様、日ハム仕様、通常仕様)/下段左からタイガーゴム、ケーツーステーション(今期、過去)

一方、ライオンゴムの吹口は上蓋とゴムが接した形になっている。広島と横浜に供給しているものは「同じ仕様で、球場外に飛び出さないよう、飛びにくくするために吹口を重くし、風船本体の長さも短めにしてある」(同)という。

日本ハムは、基本的に空気を入れる際にポンプの使用を推奨しており、口で空気を入れられない様、吹口にガードが付けられている。ジェット風船解禁の際、球団はポンプを十万個単位で無料配布したと言われるが、筆者が昨年札幌ドームで日本ハム・ソフトバンク戦を観戦した際、ポンプを使っている人は、座席周辺をざっと見回しても20~30人に一人くらいだった。ボールペンの先で突っつけば簡単にガードは外れるので、慣れているファンはポンプを使わないのだろう。

今シーズン、阪神に供給しているケーツーステーションの吹口の形状はライオンゴムのものともタイガーゴムのものともまったく違う。

ちなみに、球団公認グッズとしてポンプがあるのは日本ハム、横浜、阪神の3球団だけのようだが、筆者は阪神ファンと横浜ファンについては、ポンプで空気を入れている人を見たことがない。

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