転機を迎える日本の人材育成(その1)

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●メーカー、非メーカーともに8割がOJTを支持

 人材育成にはOJTとOFF-JTという2つの方法がある。今回のアンケート調査では、圧倒的にOJTが支持されているようだ。ただし、メーカー系と非メーカー系で濃淡の差がある。
「OJT重視」はメーカーで20%、非メーカー系で37%だ。倍近い開きがある。「どちらかといえばOJT重視」はメーカーで59%、非メーカーでは43%だ。「OJT重視」と「どちらかというとOJT重視」をあわせれば、メーカー系79%、非メーカー系80%とほぼ同一だが、非メーカー系の方がOJTを重視する傾向が強いようだ。
OFF-JTを重視する比率はメーカー系、非メーカー系ともに10%で差がない。
OJTが支持される理由だが、「OJTは体に染みつく」「強いプレッシャにさらされないと力はつかないと思う」などが挙げられている。ただ「現場スタッフの負担軽減、指導内容の統一」「現場任せには、限界がある」などOFF-JTを評価する声もある。
現在は圧倒的にOJTが支持されているが、今後については少し変わってくるようだ。全体でみた場合、「OJT重視」が30%→25%、「どちらかというとOJT重視」が50%→43%に減少している。そして「どちらかというとOFF-JT重視」が11%→17%、「OFF-JT重視」が1%→2%と増加している。
現在は、各現場が「職場で育てる」という意識がかつてよりも薄くなっていること、さらには現場のマネージャーに課せられている役割が管理職というよりもプレイヤーとしての色彩が強くなり、現場での教育が非常に負担になってきているとの思いからではないかと推察する。

図表6:育成機会(OJTか、OFF-JTか)
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図表7:育成機会の現状と今後の方針(全体)
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●人事部門の発案と現場部門長の要望で多くが決められる教育研修メニュー

 教育研修のメニューには多種多様なものがある。メニューの選定は誰がしているのか。最も多いのは「人材開発部門・担当者の発案」だ。メーカーで70%、非メーカーで61%だ。次に多いのは「現場の部門長からの要望」で、メーカーで60%、非メーカーで59%。
役員からの指示はメーカー、非メーカーともに5割前後だ。人事と現場に任せるトップの方が多い。
社員からの要望も反映されている。メーカーが30%、非メーカーが37%だ。これも業務の性質が異なるためだろう。他社事例を非常に気にする人事担当者が多いものの、研修メニューの決定ということでは、メーカーで23%、非メーカーで15%と意外と低い。

図表8:教育研修メニューは何を基にして決定しているか
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