EU、2017年までに難民が300万人流入へ

欧州委は成長率の押し上げを見込む

11月5日、欧州委員会は経済見通しのなかで、2017年までに300万人の難民が域外からEU加盟国にやってくると見込んだ。難民が社会の中で労働力として融合すれば、経済成長を押し上げ、長期的には財政改善につながる可能性があるとしている。写真は同日、ギリシャのレスボス島の海岸のシリア難民の親子(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

[ブリュッセル 5日 ロイター] - 欧州委員会は5日、欧州連合(EU)加盟28カ国に関する経済見通しを公表し、2017年までに300万人の難民が域外からEU加盟国にやってくると見込んだ。難民が社会の中で労働力として融合するならば、EUの経済成長を押し上げ、長期的には加盟国の財政状態の改善につながるかもしれないとしている。

15年は100万人の難民がEUに到着する見込み。16年は150万人、17年も50万人がやってくるとしている。

EU加盟国が到着した難民の半数を受け入れ、その4分の3が労働年齢にあると仮定した場合、EUの労働力人口は15年段階で0.1%増えると見込まれる。16、17の両年はそれぞれ0.3%増加するとしている。

受け入れた難民が、受け入れ国の国民と同じレベルの技能や職能を持っているとすると、EUの域内総生産(GDP)を16年に0.21%、17年は0.26%押し上げるという。

難民が低い水準の技能や職能しか持たない場合は、16年で0.14%、17年で0.18%の押し上げにとどまる。

難民流入に伴うEU加盟国の財政悪化は少ないとされている。EU全体の財政赤字は16、17両年でそれぞれ域内GDPの0.04%しか増えない。一方で、19年と20年にはそれぞれ0.03%と0.05%の改善になると推計している。

欧州委員会は「難民受け入れに伴う追加的な財政支出は国によって異なるが、ほとんどのEU加盟国にとって、その額は限定的なものにとどまる」としている。

難民が通過する国のうち最も影響が大きい国でも、今年の財政的なコストは最大でGDPの0.2%にとどまり、16年には総じて安定すると見込まれている。

ドイツなど最終的な難民受け入れ国にとっての財政コストは、15年でGDP比0.2%が見込まれる。16年はいくつかの国で若干増えるとしている。

人口当たりの難民受け入れ数がEUの中で最も多い国のひとつであるスウェーデンの場合、今年の財政的なコストはGDPの0.5%に近く、他の国と比べて多くなる。一方で経済成長に対するプラスの影響は小さくなるという。

最も多くの難民を受け入れることが見込まれるドイツについて、欧州委員会は経済への影響を個別に推計した。難民がドイツ国民と同じ水準の技能や職能を有するとの前提に立つと、難民の受け入れは16年のドイツのGDPを0.43%押し上げる。17年も0.56%の押し上げ効果が見込まれ、20年にはその効果は0.72%に及ぶという。

しかし、GDPの増加は全てのドイツ国民を裕福にするには不十分だ。国民一人当たりのGDPは16年に0.6%減り、20年でも0.3%減る計算だ。

難民の受け入れにより、小さいながらもマイナスの財政上の影響も発生する。難民がドイツ国民と同じレベルの技能や職能を持つとする楽観的なシナリオでも、16年にはGDPの0.25%に相当する財政的なコストが発生する。20年には財政コストは0.05%にまで縮小する見通しだ。

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