"けんせつ小町"たちは、今日も現場で奮闘中 「男の世界」で働く女性が必要としていること

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ただ、既婚者の瀬井さんにとって、「これから出産、育児のことも考えると、会社のサポート体制や現場の方々に助けてもらいながら、仕事を続けられること」が切実な問題だ。夫婦共働きの生活のなかで、子どもの保育園や幼稚園の送り迎えなど、短時間勤務がなければ難しい。

「設計よりも現場の最前線で働きたい」

横浜のみなとみらい地区で建設中の地上11階建てのある企業の本社となるビル。現場では、元受けの大林組の26人のほか、約70社の協力会社などが出入りしている。少ない時で150人、多いときは200人を超える作業員が働く現場だ。

「設計よりも現場にこだわる」という伊藤さん(撮影:大塚一仁)

伊藤綾香(いとう・あやか)さんは、日本大学の海洋建築工学科を卒業後、大林組に入社して4年目となる。「海外旅行に行っても世界遺産など建物を見るのが好き」という。

建物は外側からなら誰でも見られるが、内側から見られるのは現場で働く人の特権みたいなもの。就活中に建設現場を見てから、「設計よりも現場の最前線で働きたい」と思うようになった。

就活中、大林組では女性が多く活躍しており、管理職や現場の副所長もいると知ったことが入社のきっかけのひとつとなっている。事実、大林組では昨年に業界で初めて、女性の現場所長が誕生、その後もう一人増え現在、女性所長は二名となっている。女性管理職の人数は業界でトップだ。

伊藤さんにとって、昨年11月からかかわる、現在の現場は2カ所目となる。初期段階の杭打ちから、建物の骨組みにあたる躯体を担当、最近は鉄骨と外装をみるようになった。実は、「高所恐怖症」という伊藤さんだが、足場のない高いところにも登ることもある。「仕事だから」と覚悟を決めているのか、「安全帯があるから大丈夫」と笑顔を見せる。

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