「今後1~2年で500メガワットを開発したい」--日本アジアグループ山下会長

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--共同事業者として、どのような相手を想定していますか。

もちろん、共同事業者は考える。われわれにとって大事なことは、発電所を開発するだけでなく、運営をしていくこと。欧州では、オペレーション&マネジメントということをずっとやってきた。(太陽光発電所の)運営ノウハウを当社は持っている。工場跡地で太陽光発電所を開発する会社があれば、開発後の運営は当社で、という関係をつくっていきたい。

--東日本大震災の被災地である東北地域における開発のポテンシャルはどの程度あるのでしょうか。

たとえば、福島県は、太陽光より風力発電の方が先行している。宮城県は太陽光の方が強い。福島県の内陸は、日照量が良くない。

--太陽光発電所を開発するにあたって、ファイナンス上どんな工夫を凝らすのでしょうか。

私どもは、欧州を中心にこれまで59メガワットの太陽光発電所を開発してきた。その過程で、「ユーロ・ソーラー・ファンド」を2本、個人投資家向けに70億円公募で販売した。こういう実物に投資するファンドは日本で初めてだ。ユーロ安だが元本価格前後では償還できそうだ。

太陽光発電とは、不動産と金融のハイブリッドの事業だと言える。遊休地をどのように素早く手に入れるか。その次に、どれだけのお金を調達するか、だ。あとはコミュニティに対して、どの程度配慮するか。送電線が長くなればなるほど、効率は落ちていく。地域で電力を開発し、地産地消していく。地産地消をつくっていくのに最良なのが太陽光発電だ。

--太陽光発電所に対するプロジェクトファイナンスの状況は?

宮崎では地元地銀により、2億円ほどの融資がついた。まだ日本でプロジェクトファイナンスの実績は多くない。今回の全量買い取り制導入にあたって、われわれの主張の一つが、日本でプロジェクトファイナンスをどれだけ普及させるか、その制度的改革の推進だった。ドイツでは、プロジェクトファイナンスを手がける銀行や、発電所のキャッシュフローを分析する評価機関が存在し、損害保険や政府保証もつく。日本ではまだあまり多くないが、少なくともいま理解が始まっている。 

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