ジョーンズ ラング ラサール

コーポレート・ガバナンス強化のために注目される、
戦略的な企業不動産(CRE)マネジメントとは。
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福島 それだけのコスト削減ができれば資本効率を高め利益にも直結しますね。にもかかわらず、日本企業において戦略的なCREが進んでこなかったのにはどのような理由があるのでしょうか。

河西 大きな理由として、経営者の皆様の関心が低いことが挙げられます。日本企業の多くでは、生産現場や販売現場等の「コアビジネス」におけるコスト管理は徹底されて来ましたが、不動産関連コストについては、あまり強い関心を払って来ませんでした。

当社はこの7月に、「日本企業のCRE推進に関する調査2015年」を発刊しました。この中で、日本企業の経営層は、CRE推進における資本効率改善の認識がいまだ低いことが明らかになりました。CRE部門への権限委譲についても、欧米企業に比べて進んでいません。

今後は、CRE戦略を経営戦略の重要な柱に引き上げることがますます重要になります。そのためにも、最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)などが率先して取り組むとともに、CRE部門への経営からの支援やコミットメントが不可欠になるでしょう。

世界の投資家とのネットワークで
東京の都市力向上にも貢献

福島 JLLの2大サービスの一つである投資家向けサービスについてもお聞きしたいと思います。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、不動産市場も活況を呈しているのではと思いますが、現状はいかがですか。

河西 世界中の投資家が日本、特に東京に関心を持っています。一種の日本ブームと言ってもよい状況ですね。オフィス、物流、リテール(商業施設)、ホテルなど様々な種類の不動産の売買が活発になっています。また、オフィスビルを賃借する為の賃料も、円安傾向にあることから、香港やニューヨークと比較してもかなり割安感があります。

実際に当社が10月に都内で開催した「不動産&ホテル投資フォーラム2015」には国内、海外の不動産投資家やデベロッパー、ホテルオペレーター、レンダー(金融機関)、弁護士など不動産プロフェッショナルが約400名参加し、その数は過去最高となりました。

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