韓国総選挙は与党が勝利 FTAなど貿易問題では日本に追い風

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一方で、「FTA(自由貿易協定)など経済問題でも韓国の動向が、かなりの影響を与えるようになった」とも指摘する。FTA先進国である韓国にとって、韓米FTAの是非が野党側から強く問題提起され、総選挙での争点になっていた。

同FTAはすでに発効されているが、民主党など野党は「破棄も辞さず」と主張していたものの、破棄を選挙民が認めなかったものと受け止められている。そのため、「日本のTPP(環太平洋経済連携協定)や日中韓FTA構想などの場面で、日本側にも追い風となるのでは」と小針教授は言う。

韓国にとって今年2012年は選挙の年で、年末には最も重要な大統領選を控えている。選挙戦の第1ラウンドはセヌリ党がなんとか勝利したものの、大統領選では楽観はできない。

まず、セヌリ党は、「李明博大統領のハンナラ党から、朴槿恵のセヌリ党へはっきりと変身できた」(小針氏)ため、今回の功績で朴槿恵氏が最有力な大統領候補になったのは間違いない。政治的ライバルである鄭夢準氏、李在五氏も当選、またソウル首都圏にある京畿道の金文洙知事が大統領選への出馬を発表したものの、「(当初の)単独過半数の功績は大きく、党内での優位性は朴槿恵氏にとって揺るぎないものになっている」と慶應義塾大学の西野純也准教授も説明する。

ただ、セヌリ党は今回の総選挙で、最大票田のソウル市を含む首都圏で振るわなかった。以前から朴槿恵氏にとって「弱点」とされてきた地域でどれだけ支持を伸ばすことができるか。「首都圏の票田が決定的に重要な地域」(西野氏)であるだけに、朴氏には大きな課題が残されている。

一方の野党側には、強いリーダーシップが不在な状態が続く。また、「大統領選のためには候補者一本化が不可欠だが、民主党の外に解決すべき重要課題がある」と西野氏は指摘する。 

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