意外!広告市場で「タブレット」が伸びていた いまデジタル広告で起きていること

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デバイス別のトレンドはどうだろう。肌感覚からして、スマートフォン全盛の時代だが、広告の世界で比べると、違った世界が見えてくる。

スマートフォンのCTRの成長率は、デスクトップ(11%)よりもタブレットよりも低い、9%という結果となっている。また、クリックあたりの単価を示すCPCで最も成長率が高いのはタブレットの4%で、価格で比較しても最も高いのはタブレットで、スマートフォンはデスクトップの7割に留まっている。

ただ、スマートフォン主体の生活への移行は、モバイルの画面で広告をクリックしにくくても、評価が進んでいる側面もある。1000回表示するごとの広告単価(CPM)を比較すると、デスクトップよりもスマートフォンが6%高い価格となっており、同じくデスクトップより5%高い価格でタブレットが続いている。

このようにしてみると、世界的にタブレット市場の成長鈍化が指摘されている一方で、広告市場において、タブレットは、デスクトップとスマートフォンのいいとこ取りをしていることがわかる。

肌感覚との違いにも注目

引き続き成長の継続が期待されるグローバルのデジタル広告市場におけるトレンドについて、皆さんはどうとらえただろうか。デジタルマーケティングに従事していない読者の方も、ぜひ一度、日々の暮らしの中で触れるデジタル広告について、振り返って考える機会を作ってみて欲しい。

グーグル検索の広告に対して、フェイスブックで目に入ってくる宣伝に対して、皆さんはどのように扱っているだろうか。あるいはスマートフォンやデスクトップで目にした広告について、覚えているものや役立ったものはあるだろうか。

もしタブレットを使っているのであれば、スマートフォンやデスクトップで見た時と、タブレットで広告で見た時に何が違うのか。ぜひ、この記事に「コメント」でフィードバックを頂ければと思う。

なお、Adobe Digital Indexのレポートは、Slideshareでも公開されている。本稿では紹介していないが、動画の生中継メディアPeliscopeの動向や、フェイスブックの投稿タイプ別の反応など、ほかにも興味深いデータに触れることができる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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