続けられない人の欠点は「努力」でなく「分析」 継続の「打率」を上げていくための得策は

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さて、僕なりに物事を継続するためにやっている「工夫」についてお話する前に、ひとつ、継続力についてクリアしておきたい問題があります。それは、何かに取り組むときに「続けられそうか」「続けられそうもないか」という判断をちゃんとやっているかどうか、ということです。

というのも、「継続力がない」「根気がない」と悩んでいる人のだいたい半分ぐらいが、そもそも「とてもじゃないけれど続けられないこと」にチャレンジしてしまっているように感じるからです。

よくよく考えれば無理のあるスケジュールや課題なのに、きちんと現実に向き合わずなんとなく始めてしまい、案の定、やり始めるとだんだんときつくなって諦めてしまう。そして、取り組み始めてから諦めるまでの1週間、2週間という時間の間に「続けられない自分」「努力できない自分」にがっかりして、自己評価を下げ、傷ついてしまう。そういうパターンにはまっている人は意外に少なくない。

判断力を低下させる「邪念」はないか

つまり、「継続力がない」という問題には、「実際、続ける力がない」という問題とともに「継続できそうか、できそうにないか」を判断できていないという意味での、判断力の問題もある、ということです。

自分がこれからやろうとしていることに、スケジュールや方法論の点で無理がないかどうか。何かに取り組み始める前に、そのことをまずチェックしてみてほしいと思います。

そしてもし、自分の傾向として「ついつい、継続できそうもないことに取り組んでしまう」という「判断力の問題」が大きいようであれば、その点について少し心理的な面を掘り下げてみてもよいかもしれません。

そこには、端的に言えば「こんなことをがんばっている自分をみてほしい」という虚栄心があるかもしれないし、「断るなんて、誘ってくれた人に悪い」といった、実際に取り組む内容とは無関係な動機が隠れているかもしれない。心の内からそういう邪念を払っていけば、何か新しいことに向き合ったとき「自分が続けられそうか、そうでないか」ということを、今よりもう少し正しく判断できるようになるのではないかと思います。

ただ、「判断力」と申し上げましたが、その一方で僕はこうも思うんです。僕らは「続けられそうもないこと」にあえてチャレンジし、それをやりとげるからこそ、素敵な自分に生まれ変われるんじゃないか、と。

これはこれで、大事な考え方だと思うんですね。こういうチャレンジ精神のようなものを安易にそぎ落としてしまったら、それはそれでまずい。というのも「続けられそうもないことに取り組んでみたい」という情熱こそが、人を成長させるエネルギーになることは少なくないからです。

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