宇宙兄弟(Space Brothers) --もう一度考えよう“夢”の意味、“リスク”の意味《宿輪純一のシネマ経済学》

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 目標というのは決めなければ達成もできない。その目標を掲げ、成し遂げるようとすることがアメリカン・ドリームなのである。訳の問題と言ってしまえばそれまでだが、その辺の目標の厳格化がどうも日本語の「夢」とどうも違う気がしていた。

さらに言うと、まったく個人的な意見であるが、リスク(Risk)という言葉も、アメリカにいたとき、そして経済学の書物を読んでいるときに、日本語のリスクとはずいぶん違うような感じがした。

日本語ではリスクは「危険」と訳すことが多い。危険を訳し直すと「Danger」となる。アメリカでは、リスクとはどうも日本語でいう「挑戦」「冒険」に近い気がする。よく使われるハイリスク・ハイリターンは、個人的に訳すと「挑戦すれば、よいことがある」という、逆に“楽観的”な意味が正しい気がする。このような言葉の問題は、ほかにも結構あって誤解も多い。

経済も企業も、皆様の人生も、“夢”も“リスク”も前向きにとらえて、実り多いものになることを祈念している。

宇宙もの映画の命ともいえるロケットの「Lift Up(打ち上げ)」や宇宙のシーンは、CGが出しゃばらずよくできていると思う。それもそうだが(筆者は実はロックフリークであるが)、イギリスの世界的ロックバンドのコールドプレイ(COLDPLAY)の曲の盛り上げがものすごくよい。一気に盛り上がる。ロケットよりも早く吹き上がる気がしたのは筆者だけだろうか。



©2012「宇宙兄弟」製作委員会


©2012「宇宙兄弟」製作委員会


しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。

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