中国人訪日旅行に異変、急速に進む個人化

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中国人の訪日個人旅行が急拡大している。

旅行最大手JTBによると、中国からの個人旅行客数は今年1月に4倍へ急伸。その後も大幅増が続き、2010年度の個人8%、団体92%の構成比に対し、11年度の個人は22%に拡大する見込みだ。業界2位KNT(近畿日本ツーリスト)の取り扱いでも1~2月に3倍となった。

訪日中国人は震災で半減したが、昨年11月から1月までは3割増の過去最高を更新。牽引役は個人旅行客だ。日本旅行のリピート化や、10年夏以降、日本政府が個人観光ビザ要件を相次ぎ緩和した結果、団体旅行からの急速なシフトが始まっている。

これでニンマリするのが日本の大手旅行会社だ。これまで主流の団体旅行では、在日中国人など民族系代理店が低価格で大手を圧倒し、宿泊予約等で9割超のシェアを獲得。「現状では中国人の訪日客がいくら拡大しても日系旅行会社の収益源になりにくい」(観光庁)とされてきた。

だが、個人旅行となると、団体観光ビザで来日し、大型バスで東京-大阪間を回る従来の団体旅行と違う。空港やホテルでのカウンターやコールセンター、各地のオプションツアー手配などインフラやノウハウが必要。これは中小の民族系では難しく、訪日欧米人向けで培った基盤がある日系大手に一日の長がある。

 

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