【産業天気図・空運業】国内線は札幌−羽田線で値下げ競争激化、燃油費高止まりも重く今期も「曇り」

航空旅客市場の今08年3月期は、国際線では今期下期メドに羽田−上海便が就航するなど中国路線が好調。だが、国内線では7月からの夏休み商戦で06年4月末にスカイマーク<9204.マザーズ>が参入した羽田−札幌線での値下げ競争が加速する。前07年3月期はスカイマークと北海道国際航空(未上場)の2社が値下げ合戦を繰り広げていたが、今年7月からは日本航空<9205.東証>・全日本空輸<9202.東証>もこれに参戦。航空各社は9月までの上半期で利益の約8割を稼ぐ構造のため、この時期の値下げ競争は各社の減益要因となりそうだ。さらに、燃油費が前期に続き高止まりを続けており、大手では機材小型化のための更新費用、大手以下では整備費なども重い。今年度の空模様は上半期、下半期ともに「曇り」と言えそうだ。
 日本航空の前07年3月期は、全日本空輸に流出した顧客の回復が想定に及ばず、特に国内線で苦戦。厚生年金基金の代行返上360億円による押し上げ効果で営業利益229億円を計上したが、これがなければ131億円の営業損失だった。会社側は今08年3月期、不採算路線の撤退で前期比減収となる売上高2兆1970億円計画。営業利益は前期の代行返上益がなくなるが、人件費を500億円削減して350億円を目指す。人件費削減策の内訳は、退職給付関連制度改定で200億円、臨時手当の抑制で150億円、人員配置や部長級社員の早期退職に伴う給与減等で150億円、計500億円の計画だ。だが、前07年3月期は人件費削減を中心とする今08年3月期以降の収益改善を新日本監査法人に疑問視され、繰り延べ税金資産を取り崩して162億円の最終赤字となった。この経緯を見ると、今期の業績見通しの達成も不透明感は否めない。8つもある組合との交渉も容易ではない。『四季報』夏号では会社計画は過大と見ている。注目点は、これらの人件費圧縮が功を奏して利益を捻り出せるかということだ。
 全日本空輸は、国内線では客単価の高いスーパーシートが好調なほか、羽田−北九州線を運航しているスターフライヤー(未上場)との販売提携(コードシェア)で若干の上乗せを見込む。国際線で中国・アジア線の増便やシカゴ線の復便が通期寄与。機材更新費用等は、前期のホテル売却益1300億円で吸収する。だが、6月末のシステムトラブルによる減収約4億円、システム回復費用約2~3億円等が予想外の痛手となる。ただ、同社の売り上げ、利益規模から見ると、影響はごくわずか。『四季報』夏号の予想は会社想定から増額しているが、現時点での数字の見直しは考えていない。
 スカイマークは主力の羽田−札幌線で大手2社が値下げ。運賃の差が縮まり、顧客流出は避けられない模様。ライバルの北海道国際航空(エア・ドゥ)(未上場)はスカイマークの札幌線参入で、前07年3月期は売上高299億円、営業損失3.9億円と赤字に転落した。今期は立場逆転、大手2社への顧客流出をスカイマークの側が被るおそれがある。
 きわめて保守的な業績予想を出している全日空をのぞくと、各社の見通しはやや楽観的と言えそうだ。『四季報』予想では会社計画よりも弱含みの予想を立てている。
【山本亜由子記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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