日新製鋼はステンレス拠点の周南で製鋼設備を刷新、14年度末メドに能力増強へ

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日新製鋼はステンレス拠点の周南で製鋼設備を刷新、14年度末メドに能力増強へ

高炉中堅、ステンレス大手の日新製鋼は4月17日、周南製鋼所(山口県周南市)の製鋼設備を刷新すると発表した。連続鋳造設備の新設など総額270億円を投じ、14年度末までに稼働を目指す。日本金属工業との経営統合後に予定されている生産集約をにらみ、体制を整えるのが狙いだ。

ステンレス製造拠点である周南製鋼所の上工程である転炉設備と真空脱ガス設備を、14年後半に改修・増強、連続鋳造設備を14年度末までに新設する計画だ。

日新製鋼は、今年10月にステンレス専業の日本金属工業(日金工)<5479>と経営統合を予定。今回の投資決定は、統合後をにらんだ第一歩。日金工も衣浦製造所(愛知県碧南市)に同様の製鋼設備をもつが、14年度末に周南が設備刷新を完了した時点で、操業を停止させる計画。衣浦は強みの熱延など下工程中心を担うことになりそうだ。

一連の工事完了後、周南の製鋼能力は年産80万トン。周南に限れば69万トンから能力増強となるが、統合後を考えれば伸び悩む国内需要にあわせ最適化が図られることになる。従来4フィート幅までの対応だったが、5フィート幅でも対応可能となり、コイルの大型化で生産効率も高まる。71年稼働という古い連続鋳造設備を廃棄し、新設することで品質も向上する。
 
 次の焦点は下工程である熱延。周南製鋼所には熱延設備はないため、日新では高炉のある呉製鉄所で普通鋼と同じ設備で熱延工程を行っている。日金工の衣浦製鉄所の熱延設備は新しく、こちらの活用を増やすことになりそうだ。

(写真は廃棄を決めた周南製鋼所の連続鋳造設備)

(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)

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