「商売に失敗する人」が絶対気づかない思考法 数字ありきで考えるのは危なすぎる

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石川:そうですね。会社員に、自分がいい仕事ができるためにコツがいくつかあると思うんですけど、ひとつは先ほどの会社の文脈をとらえるということも大きいのですが、「何かの分野で一番になる」ということはすごくいいですね。すごく狭くてもちっちゃくてもいいので、「このことはあいつが詳しいんだよね」という話をひとつ持っていると、何かの話があったときに結構回ってくるんですよ。「あいつ、あの卸のあのルートのあそこにはいちばん食い込んでるんだよね」とか「あのニッチな技術についてやたら研究してるんだよね」とかを作っておくと、社内人脈が広がったりするので、おすすめしたいですね。

狭くても小さくてもいい、「ナンバーワン」を持て!

常見:新規事業コンテストって、社内リクルーティングみたいなところがありますよね。「こいつ、こんなことを考えていたのか」とか「こいつ、このことに詳しいな」とかね。あと、ナンバーワンが一番だと思っていて、ニッチでもいいから、この分野だとナンバーワンっていうのがね。

石川:企業内起業に取り組んで良いことのひとつは、もしかしたら、何かの分野で世界一になれるかもしれない可能性を秘めているってことだと思うんです。たとえば、その会社の中で一番になることって、案外ニッチなことだったらあるんですよね。すごくニッチかもわからないけども。

その会社がある分野では日本で一番になることって、結構ありますよね。「この自動車部品のこのワイヤーのここの部分では日本一なんです」など、「この技術では日本一なんです」ということがいっぱいあるじゃないですか。その日本一の会社の中で、ニッチの分野で一番になれば、その人が日本一ですよね。

それが世界でもナンバーワンだったら、世界一かもしれないですよね。それをチャンスだというふうに思うんですよね。日本一になるって簡単じゃないですよ。なので、社内起業は、世界で一番になれるんじゃないかと本当に思っているので、これはなかなかない機会だぞと思うんです。

常見:範囲を区切るとか、掛け算するとあっという間にナンバーワンになったりするんですよね。

常見:今日はありがとうございました。

石川:ありがとうございました。

実に全部で16ページにも及ぶ超絶ロング対談、いかがだったろうか?気づいて欲しいことがある。ここで語り合ったことは、別に「起業」なんてものは何も関係なくて、仕事をする上で、誰もが大事にするべきことではないかと思うのだ。
一見、ルーチンのように見える毎日でも「事業」というレベルまでいかなくても、「企画」はいつも作っているはずだ。その時に、「不の解消」「国語算数理科社会」という考え方は活きるはず。「これはリクルートみたいな会社だからでしょ」とか、そういう観点ではなく、ここで論じたことが普段の仕事にどう活かせるかを考えて欲しい。
ここまで読んでくれてありがとう。パラダイムの転換は、パラダイス銀河を生み出すのだ。さあ、何かを変える、始めるという想いを胸に、行こうぜ、満員電車の向こうへ!
石川明さんと記念のツーショット!
常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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