「商売に失敗する人」が絶対気づかない思考法 数字ありきで考えるのは危なすぎる

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常見:なるほど、国語算数理科社会。なぜ、その新規事業が実現できていないかを問うのは大事だと思いました。で、「不」ってどうやって探せばいいんでしょうか。

石川:やっぱり現場に密着することだと思いますね。

常見:そこですよね。いわゆる「◯◯市場は2000億円」という中では、それだけで見えないですよね。

石川:オールアバウトのときに、「これがコンセプトだな」とひらめいた、つかんだ瞬間があったんです。それまで同サイトは専門家がそれぞれの分野でガイドをやることが特徴だったので、

「よりよい情報」とはどんな情報?

「専門家ならではのよりよい情報を提供します」と説明すると、「ほうほうほう」と納得するわけじゃないですか。読者の方に話を聞くと、「やっぱり専門家ならではのよりよい情報を得られるところがオールアバウトのいいところです」と。「そうだそうだ。俺たちはそうなんだ」と思うんですけど、でもいざ改めて考えてみると

「よりよい情報」ってよくわからなくないですか?

常見:そうそう、「よりよい」っていうと、「若者に可能性を」とか、「もっと多くの起業する社会を」とか、誰もが賛成しそうなことの裏に何かあるんじゃないかと。

石川:「よりよい」で止まっていると、それ以上はビジネスが広がらないので、「『よりよい』ってつまりどうなんですか」って話をしていくと、より詳しい場合もあれば、より早い場合もあれば、より正確な場合もあれば、よりマニアックな話とか、いろいろあるんですよね。それ全部「よりよい情報」ってひとくくりになってしまうんですけど、本当に詳しいことを調べるのであれば、オールアバウトより、グーグルのほうがいいんですよ。

常見:ググれ、と。

石川:そう、いくつかワードを入れながらやれるじゃないですか。詳しい人ならたぶんできますよね。ですけど、誰が困っているかというと、「今度接待でいよいよゴルフをしなければならなくなった。どうしよう。」みたいな。そのときに「ゴルフ」と検索すると、大変なことになりますよね。

よくよくわかっていれば、いろいろなワードを仕立てながら検索ができるんですけれども、「行って恥ずかしい思いをしたらどうしよう」とか「上司に怒られたらどうしよう」とか考えるわけです。「お前さあ」って言われるのが怖いんですよね。あるときに読者の方とインタビューをずーっとしていたときに、その人から「ハズしたくないんですよね」って言葉が出たんですよ。

その一言を聞いたときに「あ! これだ!」と。「これはたぶん響くんだろうな」と思って。「ハズしたくないなと思って知りたいことってなんだろう」と思うと、オールアバウトの編集コンセプトがぐーっと見えてくるんですよ。

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