テスラ「モデルS」最強仕様はここまでスゴい ついに日本上陸したP85Dに乗ってみた

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さらに、アメリカの厳しいクラッシュテストで最高評価の「5スター」を獲得し、市販のSUVの最も安全なモデルと比べても、モデルXの方が損傷が少ないという。「モデルS」のアップグレードにあわせて追加されて話題になったブレーキや操舵を自動で行う予防安全の機能も搭載している。7人乗りで大きな荷室もあって、前後のモーターで四輪駆動。一回の充電で走れる距離が460㎞と充分に確保されており、スポーティな走りもオプション設定される。

「テスラは自動車業界に変化を及ぼす触媒」

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一過性のブームにすぎなかったEVに、新風を吹き込むことができるのか

話をモデルSに戻そう。モデルSはアメリカのスタートアップらしい自由な発想で作られたクルマだが、年産8万台では金持ちのおもちゃの域を出ないという指摘もあるだろう。実際、2014年にテスラが黒字に転じたのは、カリフォルニア州のZEV規制に対して、EV販売で得たクレジットを販売して得た利益があったからであり、旧来の自動車を売って設けるというビジネスモデルで成功しているわけではない。

しかしながら、イーロン・マスクみずからも「テスラは自動車業界に変化を及ぼす触媒」と言っているとおり、アウディが発表した「R8」のEV版がテスラを仮想敵に450kmまで巡航距離を伸ばしてきたり、トヨタが「RAV4 EV」でパワード・バイ・テスラの文字をエンジンルーム内の目立つところに刻むなど、旧来の自動車産業からは生まれない発想やビジネスのやり方で、長年ブームを繰り返しつつも普及につながらなかったEVの世界に新風を吹き込むことが期待される。

モデルS P85Dではアッパーミドルクラスのサルーンという外観にふさわしい走行性能と静粛性を手に入れたことに加えて、4WD機構と高度ドライバー支援装置などの装備の追加により、プライスタグ以上の魅力を得た。

従来のEVといえば、エコ・コンシャスの高い人が好む特殊な乗り物というイメージだったが、テスラは単なるエコではなく、今時のクールな価値観で選ぶ未来の乗り物がたまたまEVという印象だ。かなりの高級車に付けられるプライスながら未来的な外観や装備に加えて、それにふさわしい未来的な走りを味わいたい人にとって、現段階で最適解のひとつといえるだろう。

川端 由美 モータージャーナリスト
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