「会社生活を楽しめない人」の残念すぎる思考 超一流のプロが社内起業の本質を明かす

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石川:ありがとうございます。この「案件の通し方」って身につけると会社が楽しくなると思います。僕は今MBA(経営学修士)コースの講座を一つ担当しているのですが、学生と話していると、「ウチの経営者は間違っている」という話が出てくるのですね。

常見:出た、出た。あるある。

石川:「僕は正しいことを言っているのに、ウチの経営者はそういうのを理解できないので、ウチの会社は馬鹿だし、経営者も馬鹿だし、MBAをとったら、こんな会社やめようかと悩んでいる。どうですか?」っていう、そういう理屈になる人が結構、多くて。そこでも正しい、間違っているってなんなのかなっていうのが。

常見:会社員をしていると、自分の会社や経営者について、いろいろ、言いたくなることはあります。ただ、何か案件を通したいときには、それを理解してもらうことが大切ですからね。自分が正しいとなぜ、言い切れるのか、と。

ドル箱事業『ゼクシィ』、新規事業コンテストでは選外

新規事業提案制度、制度を取り入れても審査が事務作業なら、うまくいかないのは当然

石川:「リクルートさんには、新規事業提案制度があって、うまくいっているみたいだから、ウチの会社でもやりたいんだけど、どうだろう」とか「やってみて、うまくいかないんだけど、どうだろう」という相談をよく聞きます。

でも、制度だけ入れても駄目なのです。うまくいっていない企業は応募書類をさばいて、うまく点数をつけて、並べて、上から何番目までをこっちへ持っていって、みたいな。事務作業をしているんですよ。でも、そこに何人かでも、「絶対こういう事業をうちの会社でやるべきだ」と固く信じている人とか、「絶対俺がこれをいつか形にするんだ」って思うような人がスタッフに一人でもいると、全然違うんですよ。

常見:なるほど。そうそう、そこで言うと、リクルート関係者ではよく知られているエピソードですが、結婚情報誌の『ゼクシィ』、これは年間の売り上げが500億円とも言われ、結婚するカップルのほぼ全員が買うメディアですが、新規事業コンテスト「New Ring」から生まれたのですよね。ただ、別にグランプリだったわけではなく、「選外」だった、と。

石川:そう、実はあのコンテストで落選しているんですよ。だけども、この案件ちょっとおもしろいよねって思う人がいて、その中のあるスタッフが、拾い上げて、密かに育てたら花開いてあんなに大きくなったという経緯があるんです。もしかしたら、企画書がきれいにできていなかったかもしれませんし、データも足りなかったかもしれませんが。あれはリクルートの企業文化ですね。

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