売買代金3兆円台復帰が年末高への大前提 信用買い残減少傾向で需給改善の兆し

拡大
縮小

今後は前述の高値期日到来に伴い、信用買い残の縮小傾向が続くと思われる。仮に2兆円台半ばまで減少すれば、高値圏でのしこりもほぐれつつあるとみてよいだろう。

昨秋(2014年10月~)以降、日経平均株価の価格帯別累積売買代金をみると、「ひょうたん型」となっている。つまり、下値では1万7500円前後、上値では2万0500円前後がそれぞれボリュームゾーンとなっている。「昨秋の日銀追加緩和の急騰」≒「今秋のチャイナショックの急落」により、3000円近くの真空地帯が生じている。10月の日経平均株価は一時1700円近く値を戻したものの、リバウンド(自律反発)にとどまっているともいえる。

見えてきた底値形成パターン

ただ、日経平均株価の安値をみると、「ヘッド&ショルダーズ(逆三尊型)」と呼ばれる底値形成パターンがうかがえる。8月が1万7806円(左肩)、9月が1万6930円(頭)、10月が1万7891円(右肩)と、9月安値に対し10月安値が切り上がっている。

この過程で売りが徐々に枯れるため、売買代金の縮小傾向が特徴に挙げられる。東証1部売買代金(1日当たり平均)に目を移すと、8月は2.98兆円、9月は2.59兆円、10月は2.29兆円(27日時点)と縮小している。足元の薄商いはパターン通りといえる。

では、今後の需給面においての注目点を挙げよう。それは8月戻り高値(1万9136円)、200日線(1万9180円)、3月月中平均(1万9197円)を上回ると同時に、売買代金が3兆円台まで増大するか、である。今年11月は大型上場を控えているうえ、例年12月は年末商戦等を背景に日本株の商いは復調傾向をたどることが想定される。

以上のことから、日柄面での調整一巡感が台頭し、信用買い残が徐々に減少しつつあるなか、需給改善の兆しがうかがえる。仮に売買代金に厚みが増せば、底値固めから年末高へつながるだろう。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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