パート主婦が消える? パート労働者への社会保険適用拡大の是非

拡大
縮小

さらに、民主党の掲げる「新しい年金制度」や、働く女性から不公平との批判が絶えない、年金3号問題をどう位置づけるのか。日本商工会議所の坪田秀治事務局長は、「全体像がないままに、社会保障給付は減らさないで負担は増やす。このままでは国全体がおかしくなる」と批判する。確かに、社会保険の適用拡大だけで格差を縮小するには限界があり、社会保障制度の重要問題が手つかずになっていることは否定できない。

適用拡大問題がわかりにくい一因は、対象となる層に、事情の異なる人が混在していることがある。

図のように、今回年収基準を94万円とした結果、3号被保険者で最も多い層(年収90万~100万円)は対象になったが、非正規労働者が最も多い1号被保険者の80万~90万円の層が外れた。このため、負担増となるパート主婦にばかりスポットが当たり本来セーフティネットの対象とすべき非正規労働者の問題がかすんでしまった。 

 
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