(第43回)中国の経済改革も市場の力を使った

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中国経済は、新しいタイプのstate capitalism(国家資本主義)と言われることが多い。世界金融危機後、政府が大規模な政策を行って経済を回復させたことが、その印象を強めた。だが、それだけでなく、重要産業でも、国有企業が依然支配的だ。

現在の中国の国有企業は、競争による淘汰過程をくぐって生き残った企業であり、社会主義経済の国有企業としてわれわれが想像するような非効率な官僚的組織ではない。実際、『フォーチュン』誌による世界企業の売上ランキングで、10位内に中国国有企業が3社入っている。

ただし、これらの企業が独占利潤を享受しているのは事実であり、本当に生産性が高いのかどうかは分からない。また、すでに見たように、国有企業の非効率的な運営で生じた不良債権は、最終的には国の負担で処理された。つまり、国有企業は自助努力だけで再生したわけではない。そして、大型国有企業の民営化は、国有株の流通が認められなかったことがネックとなって、これまで遅れてきた。中国は、社会主義的計画経済でもないし、かといって純粋な資本主義でもない。その実力がテストされるのは、これからのことだ。

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