復興需要で活況の建機レンタル、手放しで喜べない理由

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建機レンタル業者が復興需要に沸いている。がれき処理向けに油圧ショベルやダンプが引っ張りだこだ。

業界大手のカナモトは地元業者の要望で気仙沼、宮古、釜石に営業所を急きょ新設。東北にはもともと50拠点以上を有するが、それでも旺盛な需要に対応し切れない。コマツレンタルは「機材の稼働台数が2倍強のペース」(四家千佳史社長)と急増。各社とも未曾有の高稼働に、整備工が追いつかない状況だ。

活況は業績にも出ている。カナモトは、今2012年10月期の第1四半期(11年11月~12年1月期)の営業利益が上期計画を超過するという驚異的な好決算。コマツ、日立建機などの建機メーカーも、レンタル会社の機材買い増しへの対応や、子会社のレンタル収入増加で、前12年3月期の国内向け売上高が前期比1割ほど伸長した。

約2000社がひしめく建機レンタル業界は、公共工事の縮小で長い冬の時代を耐え忍んできた。その業界に突然訪れた春。バブル絶頂の1980年代後半の3分の1まで落ち込んでいたレンタル単価は底を打ち、日立建機日本の櫻井俊和取締役レンタル本部長は「油圧ショベルで1割以上上がった」と話す。

政府が集中復興期間と位置づける今後5年間で復興関連予算は巨額の19兆円がつぎ込まれる。これから本番を迎えるがれき処理や土木、港湾工事へ寄せる期待は大きい。

阪神の悪夢再来も

ただ、95年の阪神大震災時と同じ轍を踏みかねないとの懸念も出てきた。当時、需要取り込みを狙った各社が被災地に押し寄せ、供給過剰となった。その結末が価格競争の泥沼化による疲弊だ。

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