バトルシップ(Battleship) --日本も学ぶべき“吹っ切れた”100周年記念の戦略《宿輪純一のシネマ経済学》

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さらに最近ではハリウッドの大作の『マイティ・ソー』や、本作『バトルシップ』、その後もハリウッドが忠臣蔵を描く『47RONIN』で吉良上野介を演じる(共演はなんとキアヌ・リーブスというから、何がなんだかすごい)。彼の独特な空気のような雰囲気がいい。やはり、特徴や個性が光ったほうが役者もいい。

しかし、この映画の魅力は何といっても、その軍艦とエイリアンの海上バトルをはじめとした“破壊的な盛り上がり映像”にある。『トランスフォーマー』製作会社ハスブロ最新作で、映画の雰囲気はマイケル・ベイとジェリー・ブラッカイマーを足してさらに強化したようなもの! 個人的には軍艦や戦闘機が好きであるせいもあり、大変に盛り上がった。CGも使った、美しいまでの、爆発や破壊がガンガン起こるその“破壊的な盛り上がり映像”に懸けている映画である。そういう意味で吹っ切れており、まさに究極のハリウッド映画ともいえる。だからこそ、天下のユニバーサル映画の“100周年記念作品”なのである。


©2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

映画という産業も昔ほどの勢いはない。このように映画会社ごとに特徴・特色を強化することが生き残りの戦略となる。ユニバーサル映画は、筆者個人の好みもあるが、アクションというか、大掛かりな映像を生かしたSF的な映画が多かった気がする。『ET』『ジョーズ・シリーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー・シリーズ』『ジュラシック・パーク・シリーズ』『ワイルド・スピード・シリーズ』などなどが思い浮かぶ(この『バトルシップ』も映画がヒットしたら、前述したいくつかの映画と同じように「ユニバーサル・スタジオ」のアトラクションとなるのではないか)。

この作品には、エイリアンのデザインや、若すぎる将校などなど突っ込みどころは数えきれないぐらい多数ある。しかし、そんなところはどうでもいいのである。その“破壊的な盛り上がり映像”に集中しているといっても過言ではない。

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