開発ラッシュに沸くメガ物流施設、内外から投資資金が流入

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東日本大震災は脆弱なサプライチェーン(供給網)をあぶり出し、在庫管理や物流網の重要性を企業に再認識させた。「震災直後は短期的に施設の需要が急増し、スペースを確保したい企業の問い合わせが増えた」(オリックスの斉藤部長)という。

大型物流施設の借り手である企業にとって、物流コストはつねに見直しの対象になる。テナント企業が最新鋭の大型物流施設を使うメリットは何だろうか。

ラサールの中嶋康雄CEOは「商品サイクルはますます短くなっており、施設を短期間で借り捨てられる点がいちばん大きい。ワンフロアが広く、効率アップでコストも下げられる」と話す。

オフィス関連商品のネット通販を展開する大塚商会は、全国5カ所に物流センターを構えている。センターはすべて、大和ハウスなどが開発した物件を賃貸している。同社の築地冬樹・物流推進部長は「事業の伸び率が大きく、自社物件だとすぐにキャパオーバーになってしまうので、宿借りしたほうが得策」という。

物流倉庫の有力テナントとしては、伸長著しいネット通販業界の動向も注目される。事業用不動産サービス会社のシービーアールイー(CBRE)によると、ネット通販大手のアマゾンが国内に確保している物流拠点は千葉や埼玉、大阪など8カ所で合計40.2万平方メートル。さらに「アマゾンの伸び率は大きく、今後も50万平方メートル程度まで拡大が見込める」(CBREの田口淳一インダストリアル営業本部長)という。

既存倉庫もチャンス 今後は業界再編も

外資系ファンドのような新興勢力の台頭に対し、旧来から倉庫業を営んできた既存倉庫会社は、どう立ち向かうのか。

三井倉庫の郷原健・事業開発部長は「倉庫面積の増加が供給過多を招き、われわれの収益の根幹を脅かしかねない反面、一つのチャンスでもある」と言う。 

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