「中の人」が明かす鉄道フェスティバルの裏側 ファンを喜ばせる鉄道員の汗と涙の物語

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関東私鉄も負けてはいない。京王電鉄が新宿(新宿追分)―調布間の開通 100 周年記念ポスターを頒布したときには、ほかの私鉄も声を張り上げて紹介してくれた。購入者には各社のノベルティグッズまでおまけにつく豪華なポスターとなった。

筆者も参加し、「これは白黒ポスターですが、当時の京王電車は緑だったそうです」と紹介すれば、ファンから「今、復活塗装の列車がありますよ」と切り返してくるし、「東急も昔は緑だった。東急さんを呼んで来よう」など、ステージ上と会場とが丁々発止掛け合う場面も見られた。

会場には、鉄道会社のブースのほかにも数々の出店がある。
中にはCSテレビ番組の公開収録を行うものもあった。生放送が始まると、女子鉄タレントをひと目見ようと人垣ができた。こういった取り組みは以前には少なかった。鉄道が注目されているということだろう。

会場の熱気をそのままにトーク番組が進んでいくが、ここに私鉄各社の担当者も出演する。筆者も参加したのだが、気付いたことが一つある。参加者の期待の幅が広いのだ。

ちびっ子や就活生なども参加

今年で22回目を迎えた「鉄道フェスティバル」。鉄道ファンの出会いと交流の和が広がる

たとえばこうだ。京急電鉄では近く、朝ラッシュ時に通勤ライナー「モーニング・ウィング号」の運行を開始する。このPRをした際に、似た取り組みとなる泉北高速鉄道の特別列車や京阪電鉄の特別車両の計画について感想を聞かれたりする。ファンの視点は「一つの会社にとどまらない、広い範囲の興味がある」ことを感じた。

会場に足を運ぶお客様はさまざまだ。長年の鉄道ファンという熟年層から、鉄道に興味を持ち始めたばかりのチビッ子もいる。京急ブースに来てくれた5才の男の子、桐丸君は、京急だけでなく関西の鉄道も好きで、実際に乗りに行くという。

お父さんに聞くと、「妻の実家が関西で」とのこと。やはり身近な鉄道に興味を持つということなのだろうと思ったが、桐丸君は、なんと東北の青い森鉄道も好みだというのだ。

桐丸君は、青い森鉄道の鉄道グッズアイディアコンテストに応募し、みごと佳作に入賞したという。本物の鉄道会社から評価されたことがうれしくてたまらず、青い森鉄道の熱烈ファンになったそうだ。このように、鉄道事業者の取り組みがきっかけとなり子どもたちの心に火を点け、ファンが増えていくということの一つの好例だ。

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