科学者の責任 村上和雄著

科学者の責任 村上和雄著

酵素レニンの遺伝子解読で知られる世界的科学者が、科学と心について述べた書。古今東西の著名な科学者たちをめぐるエピソードを気軽に読み進むうちに、理想の科学者像、科学の限界と可能性についての理解が深まる趣向だ。科学者という狭い範囲を対象とした感もある書名だが、平易な一般的啓蒙書である。

科学あるいは科学者が謙虚さを失ったとき、原発事故は必然的であったし、バイオ分野での暴走も生じざるをえない、だから「科学の発展の横には、きちんとつつしみの心を置いておくことが大切」だとされる。そして霊、魂、「サムシング・グレート」への関心と敬意こそが問われているとする持論へと話は進む。

結論的には「謙虚な科学」の勧めと、大震災を契機にONとなった利他的遺伝子をさらに生かすことの重要性が力説される。これまでの著作と重なる部分も多いが、原発事故を踏まえての発言には説得力があり、文系でもすっと読める。(純)

PHP研究所 1575円

  

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