「心配性」が仕事における最大のムダである トヨタの人はどんどん「捨てている」

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ひとつ目は、「あったらいいな」の仕事に時間をかけているケース。たとえば、ある特定の営業担当からの要望を受けて商品パンフレットを外注して作成したものの、その営業担当ひとりだけしか使用しなかった。あるいは、前任者から引き継いだ仕事をそのままやっていたものの、それをやり忘れていても誰も気づかなかった、などなど――。

これらのケースでは、前者はおカネをかけた商品パンフレットではなく社内資料で十分だったかもしれませんし、後者は今ではそもそもやらなくてよい仕事だったのかもしれません。

「あったらいいな」の仕事は「なくてもいい」

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当の本人は一生懸命取り組んでいるつもりかもしれませんが、付加価値を生まないところにおカネや時間を注いでおり、個人としても組織としても損失です。また本来は不要な商品パンフレットを作ったことで、それを保管・管理する業務も新たに生まれ、どんどんムダが増殖していきます。こうしたことから「作りすぎのムダ」はムダの元凶とも言われているのです。

仕事の必要性を考えた場合、まったく必要とされない仕事というのは「やらない」という判断をしやすいのですが、そのような仕事はむしろまれ。多少は必要性がある仕事が大半で、グレーな状態での判断が求められます。

ポイントは、「やめる」「やらない」ことも選択肢として考えること。恐らく、選択肢にすら入ってない方が多いのではないでしょうか。「始める」「やる」ことが前向きなイメージをもつ一方で、「やめる」「やらない」ことは後ろ向きさや怠けているというイメージを持たれがちです。しかし、「やめる」「やらない」は、より付加価値の高い仕事をする時間を捻出するために必要なプロセスです。

時とともに環境は変化しますが、それに伴い求められる仕事も変化します。昔は必要だった仕事も今は不要かもしれません。あるいは、ある特定の人からは求められる仕事も、それ以外の人には必要性を感じない仕事かもしれません。

個々の仕事の必要性を判断するために、周囲にヒアリングするのもひとつのアイデアですが、本人に対して「その仕事はやらなくていい」とはなかなか言いづらいものです。したがって、既存の仕事を一気にやめる判断をしかねる場合には、①一時的に実施頻度を落としてみる、②新規の仕事であればいったんやらずに様子を見てみる、ことも一案です。関係者の反応を見つつ、現実的な落としどころを探っていきましょう。

2つ目は、締め切りよりも随分早くに仕事をやり終えてしまうケース。これは一般的には、段取りのよさとして奨励されるケースかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

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