「ビジネスインサイダー」が急伸した理由 ドイツ最大の新聞社が410億円で買収

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■ミレニアル世代に仕える

広告主たちはジェネレーションY(1975年~1989年生まれ)に夢中だ。このデモグラフィック(人口動態)を掴めれば、パブリッシャーとして一歩抜きん出る。「ビジネスインサイダー」は、父親世代が読む経済誌「フォーチュン」ではない。読みやすい記事にライフスタイルニュースを組み合わせ、画像や映像をふんだんに使用することで、若い読者を惹きつけている。

調査企業comScoreによると、 「ビジネスインサイダー」の読者の48.3%は、18歳から34歳の読者。ライバルとなる「フォーブス」「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ブルームバーグ・ビジネス」「Yahoo!ファイナンス」より、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)の読者を多く有している。

■ソーシャル最適化のコンテンツ

「ビジネスインサイダー」の編集はミレニアル世代だけではなく、ソーシャルメディアに対してもアピールしている。ソーシャルメディアを通して、確実にターゲットへコンテンツを届けているのだ。2015年初頭において、「ビジネスインサイダー」のデスクトップトラフィックの36%は、ソーシャルメディアからもたらされた。これはダイレクトメール、Eメール、ディスプレイ広告、さらにリファラーからのトラフィックを足した数よりも多いと、ウェブ解析企業SimilarWebのデジタル・アナリストであるジョエル・ザンド氏は、話している。

「BIインテリジェンス」が収益多様化のカギ

ビジネスインサイダーは、BIインテリジェンス編集部の増強を目指している

「ビジネスインサイダー」は収益源をデジタル広告に依存してきた。事業環境の厳しさが指摘される分野だ。一方で課金モデルはかなり扱いづらい。しかし、アクセル・シュプリンガーの有料モデルへの熱心さが、B to Bのサブスクリプションリサーチやニュースレターサービスを担当する「ビジネスインサイダー」の頭脳たちを後押しするのを見てみよう。

エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・ソリンガー氏によると、有料の「BIインテリジェンス」の編集者は少人数だが、5年後には同社従業員の1/5を占める大部署を目指す計画だという。また、ミレニアル世代が無料でニュースを読むことに慣れていることを考慮しながらも、有料サービスの拡大を狙っている。

Lucia Moses(原文 / 訳:小嶋太一郎)

*[日本版]編集部で加筆・改訂した。

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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