「変なホテル」は、まだほんの序章に過ぎない 客が「2泊」するテーマパークは、こう創る!

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――当初、社長就任の依頼を2回断わり、3回目に引き受けられたそうで。

はい。最終的には九州の観光や雇用の問題などをお手伝いできればと引き受けました。それに、非常に難しいからこそチャレンジしてみたかった。今はやってよかったと思っています。想像した以上に面白い案件ですね。

実はハウステンボスは、モナコくらいの広さがあります。都市機能がある一方、規制のない私有地なんですよ。外ではいろんな規制がありますが、ここなら自由に様々な実験がスピーディにできる。加えて、花や音楽やおいしいものがいっぱいで、安全な場所。国として独立したいくらいですよ(笑)。

――これからのハウステンボスは何を目指すのでしょう?

われわれは昔からここを「観光ビジネス都市」にしようと提唱しています。どんどん新しい技術やシステムなどを開発して、それを世界に出していくような。

「変なホテル」はその一環で、今はいろんな研究をしています。ロボットやエネルギー関連はもちろん、食糧不足を見据えた生産性の高い農業の研究開発も。様々な研究や実験を行い、ダメなら改良すればいい。それでもダメなら、やめればいい。ここから世界に通用する新しい技術が次々と生まれ、世界が認め注目する観光ビジネス都市にしたい。技術だけでなく、文化や芸術も発信していきたい。

10年後には、世界がロボットホテルだらけになる

――まさに楽園ですね。澤田さんは常に世界を意識した試みを実現されてきました。

今回の「変なホテル」をきっかけに、佐世保のハウステンボスが世界に認知されたと思います。ロボットホテルは先駆けで、今はちょっと早いかもしれませんが、5年後10年後にはどんどんそっちに進む。われわれが17年前にローコストエアラインを始めたとき、まさかこんなに流行るとは誰も思わなかったように、です。

――澤田さんが仕事をする上で大切にしていることは?

気持ちですね。長い人生、人でも企業でも必ず悪いときがあり、失敗も問題も多々ある。そこで暗くなったりやる気をなくしたりクヨクヨしたりすると伸びない。そんなときは誰でもあると思って、明るく元気に前向きにやっていく。そして自分の目標や夢を持ち、それに向かっていく。

――前向きにチャレンジして、ダメなら修正すればいいと。

チャレンジしないと新しいものはできませんし、失敗は経験値ですから。やればたとえ失敗しても能力とレベルがアップして、また新しいものができていく。ただし、基本はお客様に喜んでいただくとか、世の中の役に立つとか、それを前提にやらないといけませんよ。騙そうとか儲けてやろうとか、そういうことではダメだと思います。

――おっしゃることはシンプルですね。

そう、非常にシンプル。皆シンプルなことを複雑に考えるから、わからなくなるんですよ。

(撮影:長崎辰一)

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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