ほとんど全てのM&Aは、友好的に行われる

「敵対的イメージはメディアの作り話だ」

業界再編期におけるM&Aの効用とは?(写真 : wavebreakmedia / PIXTA)

業界再編の波に乗る企業にとって、M&A(企業の合併・買収)は高値での売却と会社の成長の“二兎”を追う最適な方法だと言う。『「業界再編時代」のM&A戦略』を書いた日本M&Aセンターの渡部恒郎・業界再編部副部長に、こうした見方について話を聞いた。

時間を短縮して成果が出る、戦略的な売却

──M&A市場の流れが変わったのですか。

ここにきて時流が変わった。40歳代、50歳代のオーナーでも積極的に会社を売却するようになってきた。業界を作り変えたい、よりよくしたいと意気投合して一緒に経営していくスタイルが根付いてきたのだ。

代表的な事例がトータル・メディカルサービスをメディカルシステムネットワーク傘下のファーマホールディングが買収したケース。現在、売り主が買い主企業の副社長になっている。従来のように事業承継のため会社を売り経営者は去るのではなくて、その後ともに経営にいそしむ。トータル・メディカルのオーナーは当時55歳だった。

30歳代、40歳代の売り主もけっこういる。自分一人の経営だけで会社を伸ばしていくには限界があると見えてくる。一方、IPO(株式新規公開)をしても資金繰りと信用がつくだけだ。会社の成長を加速させるヒト・モノ・情報・拠点づくりは、M&Aのほうがはるかに時間を短縮して成果がでる。売り主は会社、社員ともレベルアップするために戦略的に売却しようと考える。

──M&Aといえば、円満にはいかないイメージがあります。

M&Aの敵対的なイメージはメディアによって作られたものではないか。敵対的なのは日本のM&A数万件のうちの100件にも満たない。しかもそのうち成立したのは3件程度にすぎない。少なくとも中堅・中小企業のM&Aでは100%ない。

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