地震保険、掛け金が高いのに保障が低いワケ 発生確率が高い賭けは分け前が少なくなる

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では、こうした地震保険に入るべきかどうかを考えてみましょう。

地震という巨大リスクに対して保険で対応することには限界があります。そのため、地震保険ではどうしても中途半端な対処法となります。あえて整理すると2つの選択肢に絞られます。

ひとつ目は、「十分な保障でなくとも、わずかでも保障がほしい」から入る、です。二つ目は、「その程度の保障ならば必要ない」と割り切って入らない、というものです。

いずれも、中途半端な選択肢です。地震保険の加入は結局のところ、個人の置かれた状況と価値判断に委ねざるをえないのかも知れません。

自問自答をしてみよう

しかしここにおいても、(保険がなくとも)「何とかなるかどうか」を自問自答することは大事なポイントのように思います。

自宅を失っても、貯金や親族友人たちを頼り、何とか生活再建の足掛かりさえ作ることができそうならば地震保険に入らない、という選択肢もあるでしょう。一方で、自宅を失った上に多額の住宅ローン返済が残ってしまうような場合、生活を立て直すことすら困難になってしまう可能性があります。このような場合には、多少の無理はしても地震保険に入っておくことが得策であるように思えます。

ロスの友人はさんざん迷いましたが、「住宅ローンの返済にメドが立つまでは地震保険に入る」ことに決めました。一般的に、保険に対する考え方には日米間でかなりの違いが見られます。しかし、こと地震保険については日本も米国も同じようです。

地震保険、皆さんはどのように考えますか。

橋爪 健人 保険を知り尽くした男

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はしづめたけと / Taketo Hashizume

1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学、法人営業部門を経て米国日本生命副社長。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ(保険ブローカー会社)代表取締役を経て2004年独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活動。著書に『日本人が保険で大損する仕組み』(日本経済新聞出版社)

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