東京ガス、「電力小売り」の負けられぬ戦い

攻勢の一方、2年後にはガス自由化が迫る

「2020年シェア1割は正直なところ相当高い目標」と広瀬道明社長(撮影:大澤誠)

東京ガスの広瀬道明社長は、東京電力が独占供給する首都圏で、電力小売りの目標として、「2020年度までにシェア1割の獲得をめざす」と語った。

東京ガスは2016年4月の自由化に合わせて、電力小売り事業に本格参入する。10月15日付けで経済産業省に小売電気事業登録申請書を提出した。今後は登録までに1カ月を要した後、電力会社の託送料金決定を経て年内または2016年初めまでに料金メニューを発表。2016年1月から、顧客による契約申し込みを受け付ける。

顧客獲得のためには、「お客様ニーズに合わせたお得なサービスをお届けする」(広瀬社長)としている。具体的な拡販策として、インターネットプロバイダー(接続事業者)などと提携して、ガスと電気、光回線などをセットにしたプランを導入。各種サービスを利用した場合に貯まる独自のポイントサービスを開始する一方、他社のポイントとも交換できるようにする。

電力小売り自由化に際しては、守る立場の東京電力が日本瓦斯やTOKAIホールディングスなどの大手LPガス会社やソフトバンク、カルチュア・コンビニエンス・クラブなどの異業種と、電力やガス、携帯電話とのセットプランや共通ポイントなどで立て続けに提携関係を構築している。今回、東京ガスは相手先こそ明らかにしなかったが、同様の手法で対抗する。

2700万世帯の争奪戦

争奪戦の場となるのは、東電が持つ約2700万世帯、売上高ベースで2兆5000億円規模の家庭用電力市場だ。東京ガスは石炭やLNG(液化天然ガス)など火力発電所の新設で供給能力を高めていくのと並行して、小売り販売で攻勢をかける。その際、東京ガスの販売代理店網である「東京ガスライフバル」や「エネスタ」、「エネフィット」が中心的な役割を担うほか、他業種にも営業の一部を委ねる。販売に際しては、電気を多く消費する家庭を中心に優遇料金を設定すると見られる。

ただ、東電の牙城をどこまで攻略できるかは未知数だ。広瀬社長は「昨年から、2020年の目標シェア1割を掲げているが、正直なところ、相当高い目標だと思っている」と打ち明ける。現在休止中の東電の柏崎刈羽原発が稼働した場合、コスト面で東電に有利に働くうえ、新規参入企業を含めて相次ぐ発電所の増設により電力が余る可能性もある。数十社にのぼる新規参入企業との競争にも勝ち抜かなければならない。

また、2017年にはガスの小売り自由化も控えており、こちらでは1100万世帯の顧客を持つ東京ガスは守勢に立たされる。「総合エネルギー事業の進化」を掲げる東京ガスにとって、電力小売りはまさしく負けられない戦いになる。
 

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