マクドナルドが「大胆値上げ」で目指すもの ビッグマックは370円に統一

拡大
縮小

もうひとつの目玉は、低価格メニューの投入だ。「エッグチーズバーガー」などの3商品を終日200円で販売。ポテトやドリンクを含むセット価格を500円に設定し、値頃感をアピールする。

200円という価格設定について、サラ・カサノバ社長は、「満足感があり、リーズナブルなバーガーはないのか」という客の声に応え、既存の最も安い100円のハンバーガーと、最も高い400円のクォーター・パウンダーの中間に設定したと説明した。

昼の割引廃止でトータルでは値上げ

ただし、マクドナルドは大胆な”値上げ”にも着手する。低価格商品の導入に伴い、2014年10月から始めた平日昼限定の割引メニューは廃止するとしている。

カサノバ社長は「100円マック以来の大きな変化だ」と自信を示す 

これまで「ビッグマック」セットは、平日の昼間は550円で買うことができた。26日に新たな価格制度が導入された後は、670円を払う必要がある。

もともと休日や平日夜間は、630〜670円という価格帯だったとはいえ、お昼時の値頃感は薄れてしまう。

さらに価格を統一したことで、全国の商品ベースでは70%が据え置きとなるものの、25%の商品が値上がりする。「ビッグマック」では約280店舗で40円の値上げとなっている。一連の施策をトータルで考えると、実質的な値上げといえる。

マクドナルドの試算によれば、今回の施策で売上高への影響は0.9%のプラスを見込んでいるという。15日に都内で会見したサラ・カサノバ社長は「(200円メニューは)マクドナルドだけが提供できる革命。お手頃さの新時代を切り開くもの」と自信を示す。

ただ、既存店売上高は客数が29カ月連続減少と、厳しい状況が続いている。手頃な新メニューを導入する一方で、大胆な実質値上げに踏み切るマクドナルド。両面戦略は吉と出るか。

                        (撮影:尾形文繁)

常盤 有未 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT