43歳で再就職、ある女性のキャリアの軌跡 女の人生につきまとう「やめスイッチ」

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ダイヤル・サービスの今野由梨社長と、子育て、介護を経て再就職を遂げた星野さん

ライフステージの変化とともに仕事や働き方を変えなければならないのは、男性よりも圧倒的に女性の側だ。しかし、仕事のスイッチのオンとオフを器用に切り替えることは並大抵のことではない。子育てと介護でこれまで複数回にわたって「やめスイッチ」を押さざるをえなかったある女性が43歳の今年、再就職を実現した。

星野真世さん(43)は現在、企業のEAPなどを手掛けるダイヤル・サービスで働いている。入社したのは7月。5年ぶりの社会復帰だった。実は星野さんは、明治大学による女性の再就職支援プログラム「スマートキャリアプログラム」を受講した第一期生。同期の中でもいち早く就職を手にした一人だ。

結婚後も働き続けるはずが・・・

「5年のブランクに年齢のこともあり、就職には不安な気持ちがありました」と語る星野さんだが、オフィスできびきびと仕事をこなすその姿は自信にあふれている。これまで家庭の事情で何度となく「やめスイッチ」を押してきた星野さんには、「今度こそやってやろう」という気持ちがあるのかもしれない。

社会人としてのキャリアは新卒で入社した証券会社で始まった。キャリアウーマンだった母を見て育ち、結婚・出産を経ても働き続けたいと思いながら就職活動に挑んだ星野さんが、自ら選んだ道だった。ところが現実はうまくいかない。就職して1年半後に結婚したのは社内で知り合った男性。当時の金融業界においては、社内婚の場合は女が退職するという慣習が根強く残っていたのだ。

やむなく仕事を辞めた星野さんはその後、22歳で第1子を、24歳で第2子を出産。子育てしながらも働きたいという気持ちは抱き続けていたが、子どもが病気がちだったこともあり、復職はあきらめざるをえなかった。まだ20代も半ば。身近な友人がバリバリ働く姿を見てうらやましいと感じることもあったが、やがて「出産が早かった分、子どもが手を離れてからでも遅くない」と割り切ることができるようになっていったという。

次ページ義母の他界後、今度は実家の父が・・・
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