ホールマッチで、ゴルフは進化する

プロゴルファー/青木 功

 最近の柔らかな日差し、ゴルフにいい季節になりました。こんなゴルフ日和に気持ち良くプレーをするには、冬場のトレーニングでの基礎体力が必要なのは言うまでもありません。私は今年、寒い東京を離れ、ハワイ、沖縄でみっちりトレーニング・・・と言いたいところですが、最近、無理はいけません。昔鍛えた体を労わりながら、如何にそれを継続するかに重点を置いているのです。

そんなトレーニングの中頃、千葉県の茂原にあるゴルフ場の監修をしているものですから、下見がてら小雪のちらつく中をラウンドをしていると、3番ホールのパー3、ピンが手前で125ヤードほどの距離でしたが、9番アイアンで打ったボールが、ピン奥に乗ったと思ったら、バックスピンでホールインワン。今年は初めて、これで生涯16回目の経験です。知人に聞いてみるとプロゴルファーは3756回に1回、アマチュアは1万2750回に1回の確率とのことです。私のゴルフ歴、五十数年に対して16回のホールインワンは多いか少ないか、アマチュアの方に聞いてみると「意外と少ない」と思う方が多いはず、そこがプロとアマのゴルフの戦略、考え方の違いと思うのです。

ゴルフはどんな競技かというと「次のショットが打ちやすい所にボールを運ぶスポーツ」なんですね。ですから、仮にそこが、短いショートホールであっても、次のショット、ここではパットになりますが、易しいパットのラインに打っていくのがゴルフなんです。パー3、パー4にかかわらず、コース設計者は短いホールほどグリーンにうねりを強くするのが普通です。短いパー3はショートアイアンで打てるからといって遮二無二にピンを狙うと、ホールインワンはアマチュアが1万2750分の1の確率ですから、直接カップインするには数十年かかる計算。うまくピンの左右、1、2メートルに乗ってもピン横や奥からのラインは難しく作られ、3パットの可能性は大です。少しぐらいピンから遠くても易しいライン、自分の好きなラインに乗せようと思うのがゴルフ巧者です。これは普段のプレーをマッチプレーで楽しんでいる方はご存じのはず。もともと、ゴルフはおよそ700年前、マッチプレーで始まったスポーツです。マッチプレーは一緒に回った相手より、1打少なく回れば、そのホールを勝てるわけです。パー3で相手が先に打って背丈ほどある深いバンカーに落としたら、良くてボギー、自分は2パットのパー狙い、無理やりピンなど狙う必要はないのです。ストロークプレーのプレーオフと似てますが、ゴルフはホールマッチで楽しんだほうがゴルフ上達の早道なのです。

それは、ゴルフと云うスポーツはプレーヤーがコースに出たら技術以上にコース戦略が物を言い、と同時にワンショットの重みを肌で感じられるからです。マッチプレーを経験するとあなたのゴルフが進化しますよ。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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