“普通の会社”を意識し出したアップル--クック新体制で株主還元を決めた意味

普通の会社を意識し出したアップル--クック新体制で株主還元を決めた意味

アップルは3月19日、電話会見で、大規模な株主還元策を発表した。17年ぶりという「配当」再開(2012年7~9月期に2.65ドル)と、100億ドルもの「自社株買い」枠の設定(13年9月期から3期間)が、2本の柱だ。両方併せた金額は、450億ドル(約3.7兆円)にも上る。還元策を好感し、同日、アップル株は過去最高値の601ドルで取引を終えた。

11年末で976億ドル(約8.1兆円、10年比63%増)にも上る手元資金。直近の四半期だけで純利益130億ドルを稼いだアップルにとって、資金の使い途は常に最重要課題だった。ただしアップルは1995年から無配を続けている。前CEOだった故・スティーブ・ジョブズが85年にアップルを追われ、96年に復帰する1年前からずっとだ。復帰後もジョブズが配当を再開することはなかった。

近年は好業績を背景に、米国のIT企業には手元資金が膨張。いずれも豊富な資金を有効活用すべく、M&Aや設備投資、研究開発などにつぎ込んでいる。グーグルはモトローラを125億ドルで、マイクロソフトもスカイプを85億ドルで買収したのが、典型例だ。もっともアップルの場合、そこまでの大型買収案件はなく、研究開発費も対売上高比で2.2%と相対的に低い。キャッシュは積み上がる一方だった。

アップルに限らず、株主還元については、今もナスダック市場を中心に消極的な企業が少なくない。かつてはマイクロソフトもずっと無配で、ようやく配当したのが何と03年のこと。あくまで自社の成長を優先し、投資家には「株価の上昇」という形で報いてきた。オラクルやシスコシステムズは11年に配当に踏み切ったが、グーグルはいまだ配当をしていない。

そうした中、11年10月にジョブズが死去、新CEOのティム・クックが本格的に舵を取るようになってから、アップルの経営スタイルが少しずつ変わり始める。その1つが慈善事業だろう。マイクロソフト会長のビル・ゲイツと違い、ジョブズはボランティアにはほとんど関心を示さなかった。それがクックCEOが誕生した昨秋、アップルは従業員が非営利団体などに寄付をした場合、アップルも同額の寄付(1件は上限1万ドル)をするプログラムを発表している。

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