岡田副総理は「本当の政治オンチ」?!

岡田副総理は「本当の政治オンチ」?!

塩田潮

 「政治オンチ」という言葉がある。オンチは正しい音程で歌えないことだが、転じて、感覚が鈍い、感じがつかめない、特定の世界や分野に疎いという意味で使われる。

 周りに「私は政治オンチで、政治のことはわからない」と言う人がいたりするが、政界の有力リーダーで「政治オンチ」とからかわれる政治家もいる。

 民主党の岡田克也副総理だ。

 勉強家で清廉・高潔、基本原理をぶれずに貫く姿勢が評価を得てきたが、半面、原理主義者で四角四面、複眼思考や人間味に欠け、付き合いにくいという声も多い。空気や流れを読むのが下手で、与野党の政治家たちの本音がつかめないという評を耳にする。

   その岡田氏が、2月25日の野田首相と谷垣自民党総裁の密談に続き、3月初めに谷垣総裁側に大連立も含めて民主党と自民党の連携合意を求めていたことが発覚した。予想どおり谷垣総裁は、増税以外の諸政策では不一致が多いという理由で拒否したが、問題は岡田氏の狙いだ。現状の「決まらない政治」克服のために両党で大きな決断を、という呼びかけは本心に違いない。

 だが、もしかすると、「政治オンチ」の岡田氏は水面下で飛び交う情報に惑わされて動いたのかもしれない。おそらく野田首相と相談づくと思われるが、野田・谷垣密談で自民党や小沢陣営を追い詰める形に持ち込んだ野田・岡田組が攻勢に出て、有利な空気と潮流をつくり出すという計算からダメモトで仕掛けたと見ることもできる。

 だとすれば、「政治オンチ」の軽挙妄動ではなく、高度な政治判断ということになる。

 政治の世界だから、情勢に応じて駆け引きや仕掛けを施すのは悪いことではないが、その場合も、政局や政界の内部事情、党利党略といった発想ではなく、「国民の目」という視点が重要だ。国民が望んでいるのは、大連立よりも政党間の監視と競争と切磋琢磨という民主政治の機能の重視だろう。

 「本当の政治オンチ」は、政界の空気や流れ、政治家の本音ではなく、国民の目と裸の心をつかむことができない人である。国民目線の原理主義者に立ち返らなければ、やはり岡田氏は「本当の政治オンチ」と言われかねない。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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