(第39回)製造業が米国や日本にもう戻らない理由

✎ 1〜 ✎ 104 ✎ 105 ✎ 106 ✎ 最新
拡大
縮小

無理して体制を整えたとしても、アメリカの高賃金で中国の低賃金と張り合えば、企業の利益は低下する。だから、製造業を呼び戻そうという政策は、実際の効果を期待したものでなく、大統領選挙用の政治的なメッセージに過ぎないのだ。

日本でも条件は同じである。ところが、2003~07年頃の日本では、円安を背景として国内生産の有利性が回復し、「生産の国内回帰」とも呼べる現象が起きた。

日本政策投資銀行の資料によると、テレビはすでに1987年頃に海外生産が国内生産を上回り、94年に輸入が輸出を上回っていた。ところが、03年頃から薄型テレビの国内生産が増大し、09年には海外生産4200万台程度に対して国内生産が半分近くのレベルに達した。

図に示すのは、製造業の大企業(資本金10億円以上)の国内設備投資伸び率の推移である。01年度以降はマイナスの伸びが続いていたが、03年度から06年度まで、10%を超える高い伸びを示している。04、05年度は、15%台の高い伸び率だ。


関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT