レアアースの第一人者、中村繁夫が語る未来 急変するレアアース市場 中国への依存度は激減へ

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 最大の買い手である日本にレアアースを買ってもらえなければ、中国も困ったことになる。しかし中国政府は、レアアースの供給権を持つ会社を集約することで管理を強化し、相変わらず価格を引き上げようと画策している。自分で自分の首を絞めているということが、いまだにわかっていない。

数年内に中国からの輸入比率は6割を切る

──それでも当面、中国は最大の輸入先だ。どう付き合えばよいか。

日本は中国とけんかする必要はない。逆に中国の企業とも協力して海外の資源を開発すればよい。同時に日本企業は、リサイクルや代替技術の研究開発に力を入れていくべきだろう。

国策としては、ほかの産地国とウィン・ウィンの協力関係を築く必要がある。ベトナムやラオスなどを訪れて話を聞くと、彼らは国境を接した中国と争ってきた歴史的経緯もあって、日本と組みたがっていることが伝わってくる。日本政府も、鉱山の権益確保の出資金援助や資源国の協力金予算など、レアアース関連予算を増額させる意向だ。

新しく期待できるのはミャンマーだ。中国の影響力が大きかった国だが、最近になって米国に接近し、民主化の方向に動きつつある。今年1月に枝野幸男経済産業相のミャンマー訪問に同行した際、レアアース分野で協力できる可能性を大いに感じ取ることができた。いずれは北米やオーストラリア、東南アジアなどから大量のレアアースを輸入できる時代がやってくるだろう。

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