英FTのネット広告実験が注目を集めるワケ 表示回数ではなく表示時間を重視

拡大
縮小

同資料はCPHを導入することによりクライアントに、つぎのようなメリットを提供すると主張している。

リーチ保証:クライアントは画面に5秒以上表示された「完全なビューアビリティ」を満たすディスプレイ広告のみ広告料を請求される。

実証された効果:5秒以上広告を見たユーザーは、そうでないユーザーより、ブランドに対して50%以上高い親近感を示す。

費用対効果:CPH広告は、同じ金額を投資したCPM広告よりも10%優れた費用対効果をもたらす。

この時間ベース方式の広告を販売したら、インプレッション広告のみでの販売に比べ、220万ドル(約2.7億円)の売上増になったという。クライアント側にもCPHのメリットがあった。5秒以上の閲覧があった広告は、それ以下の広告よりも58%も高いブランド考慮率(Brand Consideration)があった。また、ブランド想起率(Ad Recall)は71%上昇、ブランド認知率(Brand Awareness)も71%上昇した。

プレミアムな読者層に効果大

米DIGIDAYによると、FT米国支社のコマーシャル・ディレクター、ブレンダン・スペイン氏は「メッセージに費やす時間が長ければ長いほど、メッセージが与えるインパクトが強い、という私たちの理論を裏付ける事実だ」と、語った。「デジタルプラットフォーム上でマーケターが重要なメッセージをオーディエンスに伝えたいとき、広告のインプレッションにだけ執着するのは最適な方法ではないとわかった」。

時間ベースに基づいた広告を導入するパブリッシャーは、まだ少数だ。しかし、「ウォールストリート・ジャーナル」「エコノミスト」「ブルームバーグ」などのプレミアムメディアが、導入に積極的だという。これらのパブリッシャーたちが時間ベースを好む理由は、大きくふたつある。

次ページ時間ベースを好む理由は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT