生活保護の医療費自己負担問題をテーマとした集会が開催、「弱者叩き」の悪循環に警鐘

生活保護の医療費自己負担問題をテーマとした集会が開催、「弱者叩き」の悪循環に警鐘

生活保護受給者の医療費について一部自己負担を導入すべしとの論調が強まっている。

「大阪維新の会」が3月10日に明らかにした「維新塾・レジュメ」(Ver1.01)では、「持続可能な生活保護制度の確立」のための方策として「医療費の一部自己負担(導入)」が盛り込まれた。
 
 政府・民主党や自民党内でも自己負担導入など生活保護費削減を肯定する意見が勢いを増している。自民党が2月24日に明らかにした「わが党の政策ビジョンと平成24年度予算」では、生活保護制度の一部である医療扶助の適正化などを通じて、生活保護費を国費ベースで8000億円減額すると言及。
 
 消費税引き上げをめぐる政界での動きの中で、「負担増の前に削れる分野」として生活保護に焦点が当たり始めた。

そうしたさなかの3月13日、「本当にそれで解決するの? 生活保護の医療費(一部)自己負担問題を考える」と題した集会が都内で開催された。約90人の参加者からは、「なぜ経済不況が深刻化するたびに生活保護受給者が槍玉に挙げられるのか」「一部負担導入は憲法違反ではないか」といった意見が出された。

集会を主催したのは「人間らしい労働と生活を求める連絡会議」(通称「生活底上げ会議」)。集会で発言者を務めた湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長(前内閣府参与)は「大阪府内のデータ(医療扶助実態調査)から見ても、生活保護受給者が医療費を無駄づかいしているとは言えない。データからは医療機関受診をがまんしている人がいることも読み取れる。医療費自己負担は弱者叩きの悪循環を生む」と指摘。
 
 躁うつ病で14~15回にわたって入退院を繰り返してきた鈴木隆一さん(当事者団体「オアシスの会」(愛知県)所属)は、「生活保護は自分にとって命綱のようなもの。もし自己負担が導入されたら、生活に深刻な支障が出る」と述べた。

生活保護制度はすべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障するもので、医療扶助を含む保護費は、厚生労働大臣が定めた最低生活費から年金など自身の収入を引いた額として支給される。つまり、医療費に関して自己負担が導入された場合、最低限度の生活が保障されなくなることを意味する。そうした理由から、自己負担の導入は憲法第25条(生存権の保障)に違反する可能性が高い。

一方、医療扶助費の6割近くの約8000億円が入院費が占めており、そのうちの半分近くが精神医療入院費であることも集会で指摘された。NPO法人日本相談支援専門員協会代表(NPO法人十勝障がい者支援センター理事長)で、40年にわたって精神障害者の退院支援・地域生活支援活動に長年従事してきた門屋充郎氏は、「精神障害を持つ人が地域で生活できる基盤が充実すれば、精神科の入院施設は少なくて済む。入院費用も大幅な減額が可能だ」と指摘。退院の促進と精神保健医療福祉の財源配分見直しの必要性を訴えた。



湯浅誠氏(左)と門屋充郎氏


鈴木隆一氏(左)


(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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