夫の急な転勤でも妻は「テレワーク」で働ける 地方で会社員時代の経験を生かす働き方

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「アシスタント」といっても、顧客ごとにひとりの担当者が付くのではなく、キャスターの場合はチームで業務にあたっている。顧客との窓口担当者が受けた要望を、仕事の内容に応じてアシスタントたちに割り振るのだ。アシスタントたちは、プレゼン資料の作成に長けていたり語学に堪能だったり、それぞれのキャリアによって持っているスキルや得意分野が異なるため、顧客はひとりのアシスタントを雇う以上にさまざまな業務を依頼できる。 

IT関連会社で営業アシスタントをしていた八木さん。現在は自宅で幅広いサポート業務をこなしている

八木さんは以前に大阪のIT関連の会社で営業アシスタントをしていた時期があり、「どうしたら営業さんがラクになるか、営業活動に専念できるか」を考えながら働いていた経験が、今の仕事に生きていると語る。

キャスターの中川祥太代表は、地方に住む女性たちの仕事の選択肢の少なさや、クラウドソーシングなどのオンライン上で行われる仕事の報酬が極端に低いことに疑問を感じ、この事業を立ち上げた。

八木さんも、中川氏が問題としたケースに当てはまる。働きたい気持ちはあったが、夫が転勤族であるためひとつの企業に就職するのは難しい。ネットを使って在宅でできる仕事をしようと考えたが、その報酬の安さにどうしようかとためらっていたのだという。そんなときに見つけたのが、キャスターのアシスタント職だった。企業でのフルタイム勤務と同じような仕事を在宅でできるとあって、「絶対採用されたい!」と意気込んで応募したそうだ。

元会社員の主婦が働くサテライトオフィス

自宅でひとりで働くというスタイルにはまだ慣れないという八木さんだが、インターネットとパソコンさえあれば仕事ができるというメリットは大きい。今年の夏は2週間ほど西日本の実家に滞在したが、移動日以外は通常どおりの仕事を続けたそうだ。夫の転勤の可能性を考えても、どこに住んでいようと続けられるこの仕事にはとても満足している。

企業が通常のオフィスから離れた場所(従業員の生活に便利な場所が多い)に作る「サテライトオフィス」も、テレワークのひとつだ。

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