消費増税では財政再建できない 「国債破綻」回避へのシナリオ 野口悠紀雄著 ~客観的な視点からの冷静な議論を促す

消費増税では財政再建できない 「国債破綻」回避へのシナリオ 野口悠紀雄著 ~客観的な視点からの冷静な議論を促す

評者 中里 透 上智大学経済学部准教授

野田内閣が進めている「社会保障と税の一体改革」においては、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることが予定されており、3月中に消費増税法案が閣議決定されることとなっている。

財政健全化のために消費税率を引き上げる必要があるという点については、広範な合意が形成されつつあるが、「一体改革」の政府案については批判や懸念も少なからず見られる。その一つは、消費税率を5%引き上げれば本当に財政再建ができるのかというものであり、もう一つは、消費税の増税が自己目的化してしまっているのではないかというものだ。本書はこれらの点について考えるうえで有益な示唆を与えてくれる。

本書で行われているシミュレーションによれば、消費税率を5%引き上げても、国債の発行額は2年間でまた元の水準に戻ってしまい、2028年頃には金融機関が国債を消化する余力がなくなって、日本の財政は行き詰まることになるという。これは、税収の伸び率が毎年1%程度しか見込めない一方、高齢化の進展により社会保障給付を中心とする歳出が税収を上回るスピードで増加するためである。

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